保育料が高いので「毎月7万円はイタイよね」と愚痴ったら、「人前で言わないほうがいいよ」と注意されました。保育料で年収が分かるらしいのですが、どういうことでしょうか?
保育料が高いと感じている家庭は少なくないのではないでしょうか。家庭によっては大きな負担を感じて、つい周囲に愚痴をこぼしてしまうこともあるかもしれません。ただ具体的な保育料については、「人前で話すのは避けたほうがいい」と忠告してくる人もいます。 なぜ、人前で保育料の話をしないほうがいいのでしょうか? 本記事では保育料がどのように決まるのかについて解説します。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
保育料はどのように決まるの?
現在、保育所などの施設を利用する3歳から5歳までの全ての子どもについて、利用料が無償化されています。しかし0歳から2歳までの子どもは無償化の対象ではなく、保育料がかかります。 保育料は、単純に一律の金額が決まっているわけではありません。主に以下の要素によって子どもごとに決定されます。 ・世帯の所得 ・住んでいる自治体 ・子どもの年齢 ・兄弟姉妹の人数 ・保育時間 ・障害の有無 ・ひとり親かどうか 特に大きな影響を与えるのが「世帯の所得」で、家庭の収入が多いほど保育料も高くなる仕組みになっています。国の定めでは、保育料は世帯の所得に応じて0円から月額最大10万4000円まで段階的に決まります。
保育料は自治体によって異なる
各自治体は保育料に関してさまざまな独自の支援を行っています。そのため住んでいる場所によっても保育料は大きく異なります。標準時間で0歳の第1子を保育する場合の保育料について、東京都の墨田区と渋谷区を比較しましょう。 例えば夫が年収500万円、妻が年収450万円で世帯の区民税額が合計約27万円だと仮定します。この家庭の場合、1ヶ月あたりの保育料は墨田区で5万円、渋谷区で約1万3000円です。 世帯収入が同じでも、どこに住むかによって保育料に大きな差が生じることが分かります。逆にいえば同じ区域に住んでいて収入や家族構成が似ている場合、保育料はほぼ同じ金額になるのです。
保育料で世帯年収が推測できる可能性も?
このように保育料は主に世帯の所得や住んでいる場所に応じて決まります。同じ地域に住む人に具体的な保育料を話すことで、おおよその世帯収入を推測することができてしまいます。もちろん各家庭の細かい状況によって保育料は異なる上、階層にはある程度の幅があるため、世帯年収の詳細を推測することは困難でしょう。 しかし保育料が7万円以上など高額になると、その世帯の所得がかなり多いということを予想するのは容易です。人によっては「そんなに保育料が高いということは年収も高いんだな」「年収を自慢された?」と思う可能性もあります。保育料の話題を出す際は、相手との関係性やプライバシーを考慮し、慎重に対応しましょう。
保育料の仕組みを理解し、話題は慎重に
人前で保育料の具体的な金額を話すと、思わぬ誤解を招くことがあります。例えば保育料が高過ぎると、年収が高いことを自慢しているのではと思われたり、逆に安いと年収が低いと思われたりするかもしれません。 同じ理由で、何気なく相手に保育料を聞くと「年収を探られているのでは?」と誤解される可能性もあります。保育料の仕組みを理解し、保育料に関する話題は慎重に扱うことが大切です。 出典 こども家庭庁 子ども・子育て支援新制度 ハンドブック 東京都墨田区 認可保育施設の保育料の決定と支払いについて 東京都渋谷区 保育料 執筆者:山田麻耶 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部