隆起海岸に無人建機 輪島の国道249号、迂回路整備で安全確保
●月内に国交省復興事務所 能登半島地震による大規模な崩落で通行止めが続く国道249号の復旧工事で、国土交通省能登復興事務所が今月下旬、遠隔操作で稼働するショベルカーやダンプカーを初めて投入する。隆起した海岸に道路を整備する難工事に活用する計画で、作業員は現場に入らず、離れた場所から操縦する。二次災害が発生した際、人的被害が出るリスクを回避し、奥能登の動脈復活を急ぐ。 国交省能登復興事務所によると、輪島市渋田町―町野町大川間(約2・8キロ)の大川浜工区の工事に最新の情報通信技術(ICT)を備えた建機を導入する。 同工区には、土砂崩れで通れなくなった国道を迂回(うかい)する形で道路を設ける計画で、海抜ほぼ0メートルの地点から標高約40メートルの岬まで、延長約500メートルの坂道を整備する。隆起した海岸の限られたスペースで複数の重機が同時に作業を行う必要があり、難工事が見込まれる。 さらに、工事用に整備した仮道路には勾配が急な場所が複数あることから、能登復興事務所は安全性を確保する上で無人化が必要と判断。仮に重機が転倒しても物損事故で済むようにした。 遠隔操作の実施に合わせ、大川浜工区の西側に「キャビン」と呼ばれるコントロールセンターを設置する。オペレーターは同所でモニターを見ながら、土砂を取り除くショベルカーや土砂を運ぶダンプカーを操縦する。 このほか、ドローンの発着場とモニタールームも整備する。ドローンを自動航行させて工事の進ちょくを確認する目的で、能登復興事務所はICTを活用して作業を効率化し、年内をめどに地元住民や緊急車両の通行を確保したい考えだ。