橋本環奈“円”を追い詰める警視庁のキャリア 湯川班との結束が強まりXも暗躍する第5話<トクメイ!警視庁特別会計係>
橋本環奈主演のドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)。11月13日に放送された第5話は、いつになく全編シリアスなテイストが目立った。重大事件がきっかけで万町署全体の絆が深まったことで、“湯川班”がより物語の核心に迫る結果に。さらに随所で見られる怪しい描写に、「謎の脅迫者X」の正体についてもSNSでも憶測を呼んでいる。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】怪しく笑う被疑者の少女を、水曜日のカンパネラ・詩羽が熱演 ■「トクメイ!警視庁特別会計係」とは 同作は、経費から事件解決の糸口を見つける新しい警察エンターテインメント。緊縮財政を強いられた警察の本庁から、“特別命令(トクメイ)”を背負って派遣された特別会計係が橋本演じる一円(はじめまどか)だ。 経費において一円のズレも許さない几帳面な性格の円。周囲から「疫病神」と呼ばれるほどの“凶運”を持つ円が、沢村一樹演じる湯川哲郎をはじめとしたひと癖もふた癖もある個性豊かな刑事たちとともに、“お金”の面から事件解決に迫っていく。さらに警務課長・須賀安吾を佐藤二朗、上司である副署長・中塚文雄を鶴見辰吾が演じ、脇を固める。 ■警察の機密情報を人質にとったサイバー犯罪 細かいタクシーの使い方に円が怒っていたある日、万町署のPCがすべて異常な動作を始める。真っ赤に光った画面に表示されていたのは、0時までに身代金5億円を支払わなければ万町署の機密情報を流出させるというメッセージだった。 コトは警察全体の信用にも関わることであるため、警視庁のキャリアが指揮を執ることに。しかしやってきた日下部管理官(浅利陽介)は、どうも円と因縁がある様子。どこからか万町署の人間からリストラ者が出るかもと聞いていた藤堂さゆり(松本まりか)と中西翔(徳重聡)は進んで手伝いに出向くが、円はいつになく強い言葉でそれを引き留めようとする。ただ真意が掴めないため、日下部もさゆりたちも止めることはできない。 それどころか、日下部は「万町署の皆さんはご存じなんですか?君が本庁で仕事も居場所もなかったカゴのなかの小鳥だったこと」と円の過去を暴露。「くれぐれも邪魔だけはしないでくださいね。小鳥ちゃんになるのはもう嫌でしょう?」と嫌味な一言を残して去る日下部に、円は言葉ひとつ返せないでいた。 ところが、捜査費用は所轄持ち…という理由で、問題が発生した。日下部率いる捜査本部が、湯水のように高額な請求を送ってくるのだ。なかには「システム保守運用代として」という意味不明な但し書きで50万円という法外な請求書も紛れ込む。これにはさすがの円も黙っていられないようで、「クソカベ~!」と鬼の形相で走り出す。 糾弾に向かった円だったが、相手は余裕の態度を崩さない。「ピーチクパーチクさえずらないでください!黙って指示されたタイミングで指示された金額を払えばいいんだよ。お前は、私のATMなんだから」あまりにも理不尽な言葉を、止める者はいない。 実は日下部は、「所轄殺し」のあだ名を持つ悪質なキャリアの1人。捜査には適度に所轄の人間から手を借り、捜査のミスがあればすべて所轄の人間に押し付けることでキャリアに傷をつけないという手法を用いてきたのだ。 それどころか円が“カゴのなかの小鳥”状態になった原因も、日下部にあった様子。本庁在籍時、日下部が行っている捜査で複数の不正な請求があった。円は横領を疑って証拠を集めていたが、それに勘づいた日下部が先手を打ったのだ。「円が経費を支払わないことで、捜査に遅れが出ている」と上層部に訴えたことで、円の信用は失墜。窓際部署に追いやられることになったという。 「管理官は、自分の利益のためなら手段を選ばない人間です。だから…湯川さんたちには関わらないでほしかったんです」と湯川班の面々を心配する円。しかし一連の話を聞いた湯川は、「だからお前はダメなんだよ!ダメだと言われてダメだと思ってるうちはダメだ!」と意味深な言葉を残して立ち去ってしまう。 ■万町署の統廃合は既定路線だったのか 随所で見える日下部のプライドに、須賀が「プライドのせいで解決できなかった事件がやまほどある。会社の寿命は30年というけど、警察の寿命はもうとっくに過ぎてるのかもしれないね」とこぼす一幕も。「本気で期待してるよ」と小声で伝える姿には、これまでにないシリアスな雰囲気が漂っていた。 一方、事件にも進展が。タイムリミットである0時を待たず、万町署の機密データの一部が流出したのだ。そこで日下部は犯人の指定通り5億の金を支払い、受け取るため口座にアクセスしたところを押さえる…という作戦に出る。そのために今回の事件を「海外のテロ組織による犯罪」と位置づけ、無理矢理「国の治安に関わる事案」として国費から5億を請求するよう円に命令してきたのだ。 しかし当然、事実をネジ曲げてまで国費を引き出すことなどできない。円や湯川たちが反対すると、日下部は怒りのままに「いいことを教えてやるよ。この万町署は、もうずいぶん前に統廃合でなくなることが決まっているんだ」と暴露。湯川班たち、そして「経費削減の目標が達成できなければ」と伝えられていた円にも衝撃が走る。私がやってきたことは…と震える円に、「すべて無駄。誰もお前に本気で期待なんかしてない」「お前は初めから捨て駒。組織にとって一円の価値もない人間なんだよ、バーカ!」と日下部から罵倒が投げつけられる。 部屋をあとにしようとする湯川たちへ、円が言う。「助けてください…これ以上、私1人ではダメそうです」「私には、皆さんの力が必要なんです。お願いします」と頭を下げる円の背後から、「所轄は待機。これは命令です」と日下部の声が飛ぶ。だが、湯川はそんなことで止まる男ではない。 「命令には従えねえな。俺たちは、自分の頭と足で捜査させてもらう」ときっぱり宣言した湯川。そして「一円(はじめまどか)!経費をしっかり監督してくれよ。俺たちは誰かさんみたいに、いたずらに予算を使うつもりはないからな」と、初めて円のことを「いちえん」ではなく本名で呼んで鼓舞した。 改めて湯川班が全員揃ったところで、日下部の捜査を手伝っていた中西が特別な手掛かりになるアイテムを取り出す。警察庁が極秘で開発していた捜査用AI「Chat Pipo(仮)」だ。捜査本部にいた本庁のサイバー対策課から託されたものだという。 それによって犯人と思しき少女の特定はできたが、同時に怪しい情報も手に入る。タイムリミットを待たずに流出させられたと思われていた一部データは、3日も前にダークウェブへ流出していたというのだ。 ■終始シリアスな物語の結末 怪しい少女を任意で取り調べても、人質事件に関わっている様子はなかった。それどころか「たまたま面白いデータ拾ったから試しに流してみただけじゃん」と違和感のある表現で濁すばかり。 やってきた官房長も見守るなか、引き出してきた国費5億円の身代金を払った日下部。しかし約束の0時を過ぎると、データが次々に流出していく。「身代金は払ったじゃないか!」と焦る日下部だが、その責任を所轄に押し付けようとする。 「お前たちが私の命令をことごとく無視した結果がこの事態を招いた」と湯川班をなじる日下部に、「こっちは容疑者を取り調べていたんだぞ」と反発する中西。だがこれは罠だった。中西が持ち込んだAIソフトはまだ開発段階で、捜査に使用することは禁じられている。サイバー対策課からの供与自体、日下部による仕込みだったのだ。 「命令違反、服務規程違反…責任は取ってもらいますよ所轄の皆さん!」と声を荒げる日下部を、円が止める。円は機密データが3日前に流出していたことを受け、違和感のある領収書を思い出していた。3日前は生活安全課の歓送迎会があった日で、細かい区間で何度もタクシーを使った領収書が提出されていた日。これをヒントに、生活安全課の担当者が機密情報の入ったUSBメモリを紛失したことを導き出した。 つまり今回の身代金騒ぎは身内による狂言で、あくまで「紛失したUSBデータの中身」を流出させることで自身の過失をバレないようにするのが目的。身代金が支払われても流出が止まらなかったのは、そもそも流出させるのが目的だったからだ。 しかし真犯人を暴き出しても、機密データが流出したことに変わりはない。所轄の責任を問い続ける日下部の前で、突然モニターがついた。そこに映し出されていたのは、中西にAIの入ったPCを渡すサイバー対策課の人間の姿と、「餌に食いつきましたか?」とやってくる日下部。中西をハメた人間に現金を手渡して「公金ですから」と言い放つ姿が、ばっちり撮影されていた。万町署に設置されていた隠しカメラの一部がまだ稼働していることを知った須賀が、秘密裏に録画データを引っ張りだしてきたという。 「たしかにキャリアは特別です。ただ日下部君、キャリアは結果を出し続けるから特別なんですよ。残念です」官房長にそう冷たく言い放たれた日下部は、小笠原への勤務を言い渡されて顔を青くするのみだった。 番組の最後には、警察を脅す謎の人間「X」から日下部へ電話がかかってくるシーンも。SNSでは「須賀課長がいい仕事するなあ!」「すごくスッキリする回だったけど、シリアスすぎてドキドキした」「Xの正体気になる…須賀か、月村か、はたまた…」と反響を呼んでいた。