リノベーションを成功させるコツは?グラフィックデザイナーが大胆な色使いで生まれ変わらせたロンドンの家
イギリス・イーストロンドンのハックニーにあるエドワーディアン様式のタウンハウスが、現代的なデザインとの遊び心あふれる出合いによってフレッシュに生まれ変わりました。 共にグラフィックデザイナーである家主の2人は、形とカラー、ライン、空間が秘める力を使いこなすことによって、空間をポジティブな空気で満たしています。彼らは、常識にとらわれない大胆な色づかいで知られる建築スタジオのオフィスS&Mに協力を仰ぎ、さまざまな色を抽象画を描くように重ね、一軒の家を完成させました。 【写真集】大胆な色と形を取り入れてロンドンの家をリノベーション
今回のプロジェクトで家主が大切にしたのは、リノベーション前の要素を生かすこと。曲線を描くレンガ壁を着想源に、窓や鏡、ワークトップ、それからもちろん壁と、室内の随所に丸みを帯びたフォルムを取り入れることにしました。 キッチンでは、落ち着いたミントグリーンのキャビネットと淡いピンクを使ったしっくい壁に、鮮やかな黄色と赤が映えます。こうした色づかいにはすべて意味が。赤い換気扇は、キッチンの主役であるコンロの存在感を際立たせています。これに共鳴するのが、同系色で同じような幾何学的フォルムをまとうペンダントライト。空間全体に一貫性をもたらしています。 明るい黄色のアクセントも、キッチンのカラフルなデザインにポジティブな効果をもたらしています。さまざまな幾何学形が(本プロジェクトに多大な影響を与えた)アールデコ様式の特徴を表していて、例えば壁面では半月の形が、シェルフを支えています。
計算されつくした設計は、室内の至る所に認めることができます。ミントグリーンは、1階において新たに設えられたエリアを強調するために使用。グレーがかった淡いピンクで仕上げたしっくい壁は、(リビングでシェルフを彩るラベンダー色のような)鮮やかな色を際立たせています。そして何の色も塗られていない場合、その場所が建築当初から存在しているのだということを意味しているのです。 冒険を恐れずに色を使いこなし、予想を裏切る要素を次々と取り入れながらも、建物がもつ歴史を尊重して進められた本プロジェクト。室内を歩いているだけで心が浮き立つ、クリエイティブで現代的な「家族の家」が完成しました。 なかなか色を家に取り入れるのは勇気が出ない…という人も、このような色の使い方ならきっと冒険もしやすいはず。豊かな色彩を家に取り入れた好例として参考にしてみましょう。