《人生の後悔》50代となった女優3人が振り返る半生「いつ、『最後の1回』になるか分からない」舞台に生きる役者の覚悟
──「50代」「片づけ」「傍観」などのテーマが散りばめられている『片づけられない女たち』には、「死ぬまでにやっておきたいこと」を冗談交じりに語り合う場面があります。究極の「片づけ」エピソードとも言えますが、みなさんも考えたことはありますか。 松永:本のなかでも描かれていますが、実際に私も年齢が近い友人や知人が亡くなっていってるので、「死」ということを身近に感じるようになった。おかげで、死ぬまでにやっておきたいことは今のところ思いつかないけど、どれが「最後の1回」になるか分からないぞと考えるようにはなりましたね。 佐藤:とりあえず、ずっと健康でいないと、やっておきたいことがあってもできないですよね。お芝居はもちろん、今やっていることを続けるためにも、いつかやりたいことを実現させるためにも、健康でいないとダメなのは間違いない。健康診断を受けても、今までは目に留まりもしなかった数字が、「これはどういうことなんだろう」と気になるようになりました(笑)。 有森:日々を楽しくいたい。そのうえで、人と触れ合いながら、なにか作ることをやり続けられたらいいなと。お芝居もそのひとつだし、私はダンスが好きなのでダンスもずっと続けていきたい。もちろん、映像のお仕事も素晴らしいけれど、最近はAIやCGなどの技術が発達して、肉体と肉体で作り上げる部分が薄くなってきている気がします。せっかく生きているんだから、そういう皮膚感覚、身体感覚みたいなものを大事にしていきたいですね。
──過去の初演や再演では、出演者だけでなく演出家も同世代でした。今回、ひと回り若い保坂萌さんがどのように演出するかも楽しみのひとつです。 松永:保坂萌さんが40歳、演出助手の廣川真菜美さんは30代。同世代が集まって、「分かるよね、分かるよね」だけで進んでいかないためにも、彼女たちの視点こそが頼みだし、宝だと思っています。 佐藤:共感しながら観てくださる同世代のお客さんも多いでしょうし、若い方は若い方で、お母さんみたいな3人がなんかしゃべってるなぁと楽しんでくれたらいい。また男性には、「50代の女性たちは、こんなことを考えているのか」という発見があるかも。どの世代も、女性も男性も、きっとおもしろがって観ていただけると思います。 有森:私たちが演じる50代半ばの女性3人は、高校時代をバスケ部で一緒に過ごしているんです。その後、ほとんど会わない時期もあったかもしれないけど、若いときに一緒になにかを考えたり、行動をともにしたりというのは、やっぱり大きいと思う。 50代になり、ひとりだったら進めなくなるようなことが起きても、3人でいて、そのバランスのおかげで進めることはあるはず。そういった意味では、若い人たちは、今、隣にいる友だちのことを思いながら観るというのもおもしろいんじゃないかな。 松永:あと、同業者の方にもたくさん観てもらいたい。お芝居をしている若い女性が50代になったときに、「あ、今ならあれができるかも」と思ってやってくれたら嬉しい。そうやって、繋がっていって欲しい作品です。 【告知】 10月18日より、新宿シアタートップスで上演される舞台『片づけたい女たち』。ツンコ(松永)、おチョビ(佐藤)、バツミ(有森)の3人は高校のバスケ部からの友人。50歳を過ぎたある日、ツンコの部屋の片づけを手伝うことに。思い出話は尽きることなく、それぞれの生き方なども見えてきて……。 (了。前編から読む)
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