MLBに6-9力負けも原巨人が初陣に込めたメッセージとは?
原辰徳新監督が率いる新生巨人が8日、東京ドームでMLBオールスターチームとエキシビションゲームを行い6-9で敗れた。それでも育成出身の松原聖弥(23)が代打ランニング3ランホームランを含む2安打と盗塁を決めて猛アピール。原監督もチームのヒット数がMLB軍よりも1本上回ったことを評価した。繰り出した5投手の平均年齢は21.8歳。原巨人は、その初陣に「陽」への変革のメッセージを込めた。
背番号「83」が動く。 4回だった。一死二、三塁のチャンスに最初の打席で三振した大型右打者の和田恋に代え原監督は松原を代打に送った。「彼は陽の選手。勝利を呼び込む力がある」と原監督一押しの秘密兵器である。 中央大の隣にある無名の明星大から2016年の育成ドラフト5位入団。1年目は3軍でプレー、今季はファーム新記録となる134安打を記録して7月に支配下登録されたばかりで年俸は420万円。これが初の1軍の舞台だった。 「1軍初打席ということで、緊張したんですが、入団したときから初打席はたのしもうときめていた。それがいい結果につながったので嬉しいです」 その初球をボールに逆らわずに叩く。打球は左中間へ。つっこんできたソトがグラブに触れることなくスルー。ちょうど交錯する形になったアクーニャJr.がボールを見失う。その間、松原はグングンとスピードアップ。自分の目で判断すべき打球だが、新任の元木三塁コーチがグルグルと回す手に引っ張られるようにしてホームへ。非公式ながら記念すべきプロ初打席がランニング本塁打となったのである。 続く6回の第二打席も二死から一塁線に引っ張り、ベースカバーの投手との競争に走り勝って内野安打。今度は、マーリンズの正捕手、リアルミュートを向こうに回して売り物の足を見せる。初球に好スタートを切ると盗塁に成功。リアルミュートの送球がそれるとすぐさま三塁も落とした。 三塁側MLBベンチ。この日は、DH出場でマスクをかぶらなかったメジャー屈指の名捕手、モリーナが、「あの59番は、凄いスピードしているな。あの選手は、当然、侍ジャパンに入っているんだろ?」と、驚き、育成出身で、まだ満足に1軍デビューも果たしていないことを知らされると二度、驚いたという。 松原の衝撃デビューの背景にあるのが、原監督が提唱する攻撃的野球だ。 松原が言う。 「監督から、選手に『積極的、攻撃的にプレーしなさい』とキャンプが始まって、お話をしてもらって、その言葉を肝に銘じて、1日、1日の練習をして、今日の試合も、積極的という気持ちがあったんで個人的にはいい結果につながったと思う」 攻撃的野球―。 打線では、ファーストストライクから積極的にいく姿勢が見られた。1番、田中俊太(25)、2番、吉川尚輝(23)と並べたのも機動力を意識した打順。4回には、松原に続き重信慎之介(25)を代打に送った。 “神の足”鈴木尚広氏を外野守備走塁コーチとして入閣させた原監督は、去年までの巨人には見られなかった足攻をオプションに加えたいと思い描く。まだFAや新外国人などの大型補強の行方は見えないが、今ある戦力の底上げが大きな課題だと原監督は考えている。