センバツ高校野球 常葉大菊川の活躍願い 大工の原田さん、応援看板作りに汗 /静岡
◇大工の原田さん「悔いのない試合を」 親元を離れて野球部の寮で暮らす常葉大菊川の選手たちを、近隣の住民たちが見守っている。その一人、大工の原田益男さん(88)は、10年ぶりに出場するセンバツでの活躍を願って「祝甲子園出場」と大書した看板づくりに汗を流した。「けがをせず、悔いのない試合をすることが一番」と、地元の球児たちの活躍に期待している。【皆川真仁】 原田さんの自宅がある菊川市加茂白岩下地区に2006年、野球部の寮が移転し、交流が始まった。自身も長年白球を追い掛けてきたこともあるが、「親御さんは寮での暮らしを心配しているはず。少しでも手助けになれば」との思いからだ。 常葉大菊川は07年センバツで優勝を飾ると甲子園に4季連続で出場した。原田さん宅の作業場には、甲子園での活躍を願って手作りした数々の看板が飾られている。その時々の選手たちが看板に記した署名を見るたび、一人一人との思い出がよみがえってくる。「この子は当時控え捕手で。今も菊川に遊びに来てくれる」。「この子は卒業後に他校の野球部のコーチになった。かわいがっていたので差し入れに行った」……。今大会用に作った看板は、同校の野球場に掲げられている。 手先が器用な原田さんは、山道を自転車で通学する寮生たちの自転車の修理も15年以上続けている。中には、センバツ優勝時に3年生だった石岡諒哉監督(33)もいたという。 「子どもたちは元気の源。若さをもらっている」と原田さん。新型コロナ禍の前は、加茂白岩下地区の10人余りの住民たちが、バーベキューで新入部員を歓迎するなど楽しく交流してきた。「早くまた子どもたちと一緒にバーベキューができれば」と、コロナの収束を願ってやまない。 地元の草野球チームで汗を流してきた原田さんは、常葉大菊川の試合を毎年楽しみにし、地区予選から観戦してきた。現チームについて「昨季より個の力は劣るけど、まとまりがあって絆の強さを感じる」。18日に開幕するセンバツで「もちろん優勝してほしいけど、勝つことだけにこだわらず楽しんでほしい」とほほ笑んだ。