「箕輪スキー場」今季の営業断念へ、福島・猪苗代 休業状態…事業は継続方針
休業状態が続いている福島県猪苗代町の箕輪スキー場について、今季の開業を断念する見通しとなっていることが22日、関係者への取材で分かった。スキー場や併設ホテルなどの施設は町が保全管理していく方針。観光面での影響も大きく、周辺からは不安の声が上がっている。 関係者によると、町は19日に開いた町議会全員協議会で、同スキー場について「今季営業は難しくなってきた」と説明。今後もスキー場事業を継続していくためにも、町が施設の保全管理をしていく考えを示した。 同スキー場と併設施設のホテルプルミエール箕輪を運営する「横向高原リゾート」では従業員の大半が10月に退職し、休業状態が続いている。同社は猪苗代町の第三セクターで、町が2・27%、残りの97・73%を再生可能エネルギー事業などを展開するブルーキャピタルマネジメント(東京都)が出資している。 町の担当者は福島民友新聞社の取材に対して、「事業を継続していく方針は変わらない。今季の営業をどうするのかも含めて具体的なことはまだ何も決まっていない」としている。 横向高原リゾートは1988年、町と民間業者の出資で設立。その後は民間業者が撤退し、投資ファンドやスキー場運営会社などに株式が入れ替わった。2018年にブルーキャピタルマネジメントが取得してからは、同社が実質的な経営を行っている。
宿泊施設「団体客キャンセル」
箕輪スキー場が開業困難となっていることを受け、周辺の宿泊施設などで影響が出ている。 「うちにとっては死活問題だ」と周辺宿泊施設の従業員男性は肩を落とす。同スキー場を利用する団体スキー客が冬の営業の要になっているが、「団体客の半分近くがキャンセルになり、他の地域に流れてしまった」とショックを隠さない。 宿泊施設には、夏ごろまではスキー場の担当者から「今季も営業する」と聞いていたが、急に「やっぱり厳しい状況になった」と報告があり、その後に連絡が取れなくなったという。「突然の出来事だったので驚いた」と男性。残りの団体スキー客に対応してもらえそうなスキー場を探している状況だという。 近年は温暖化の影響で暖冬になることも多く、昨シーズンも雪不足で、県内の各スキー場が営業期間の短縮や滑走エリアの制限を行うなど厳しい状況が続いていた。 その中で、箕輪スキー場は県内屈指の高度を誇り、積雪量は比較的安定していたといい、周辺飲食店の経営者男性は「だからこそ休業は痛手が大きい」と話す。男性は「雪が毎年安定して降るのであれば他のスキー場でもスキー客をカバーできるが、暖冬になればこの辺りでは箕輪スキー場頼みになる。運営しないのはもったいない」と語った。
福島民友新聞