佐々木朗希のメジャー挑戦、なぜロッテはポスティングを認めたのか 「強行突破の悪例」を危惧の声
■メジャーを代表する投手に進化する可能性 米国のメディアは、佐々木のメジャー挑戦を大々的に報じている。複数球団の争奪戦となることは必至だが、移籍先で本命視されるのがドジャースだ。大谷翔平、山本由伸が在籍し、今年はワールドチャンピオンにのぼりつめた。温暖な気候の西海岸にあることも、故障が多い佐々木のコンディション作りに適しているだろう。 メジャリーガーの代理人は、「佐々木に関しては来年から先発ローテーションでバリバリ投げられるとは、どの球団も考えていないでしょう。23歳とまだまだ若いですから。日本でのスタッツ(成績)、故障歴を確認した上で育成に重点を置き、3年後に先発で稼働してくれればいいというイメージだと思います」と分析する。 佐々木は能力をフルに発揮しきれているとは言えず、発展途上の投手だ。移籍球団の育成方式で体を鍛え上げ、球の精度を上げればメジャーを代表する投手に進化する可能性がある。 ■侍ジャパン選出に懸念の声も ただ懸念されるのは、ファンやNPB全体の理解を得られたとは言えない「強行突破」でメジャー挑戦したことだろう。今後、日本代表の選出などに、影響を与える可能性も否定できない。 侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は複雑な表情を浮かべる。 「大谷、山本は26年に開催予定のWBCでドジャースの許可を得て出場する可能性が高い。一方で佐々木はどうか。侍ジャパンに選出される選手は実力があればいいというわけはない。野球普及の観点から尊敬され、ファンに応援してもらえることが重要な要素になります。佐々木がメジャーで活躍すれば風向きは変わるかもしれませんが、現時点ではファンの共感が得られない。『侍ジャパンにふさわしい選手ではない』と反発の声が一定数上がるでしょう。現場はメンバー選考で難しい決断に迫られると思います」 批判は覚悟の上での挑戦かもしれない。ロッテを去り、異国の地で新たなスタートを切る右腕にどのような運命が待ち受けているだろうか。 (今川秀悟)
今川秀悟