タカラトミーアーツ『究極のおにぎり』開発者に聞く仕事を面白くする方法
マツダの広報、Tさんから「こういうものを企画・製品化する人がいるんですよ」と渡されたのが、この「究極のおにぎり」だった。 【関連画像】タカラトミーアーツ・FV事業部FV企画部企画マーケティング課・平林千明さん 。私が不勉強でしたが、平林さんは大人が楽しむ「クッキングトイ」のヒットメーカーとして有名な方なんですよね。お名前で検索するとたくさんのインタビュー記事があって、どれも面白かったです。 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00164/062700059/p1.jpg タカラトミーアーツの「究極のおにぎり」。希望小売価格は4378円。マツダはこの商品をロータリーエンジン搭載の「MX-30 Rotary-EV」に引っかけてイベントのノベルティにしていました。どなたが悪乗りしたのでしょう…… ごはんを入れてスイッチオン、まさしく「おむすび」型のローター(おにぎりケース)が電動で30秒ほどグルグル回って、中に空気をたっぷり含んで口内でほどける見事なおにぎりができあがる。な、なんだこりゃ。 「面白いでしょう、これをつくった方は、ウォータースライダー型の流しそうめんマシン『そうめんスライダー』シリーズも手掛けているんですよ。本物らしさを求めて、東京サマーランドのウォータースライダーの担当者にも取材に行ったらしいです」(Tさん) 「究極のおにぎり」に「そうめんスライダー」。アイデアを思いつくだけでもすごいけれど、それを製品にして、なおかつヒットさせるというのは大変な仕事だと思う。どんな方がどんなふうにつくっているのか、お話を聞きに行ってきました。 マツダのTさんからお話を伺ってやって参りました。お忙しいところすみません、よろしくお願いします。 タカラトミーアーツ・FV事業部FV企画部企画マーケティング課・平林千明さん(以下、平林):よろしくお願いします。 同・事業企画部 広報宣伝課 中村佑子さん(以下、中村):よろしくお願いします。 私が不勉強でしたが、平林さんは大人が楽しむ「クッキングトイ」のヒットメーカーとして有名な方なんですよね。お名前で検索するとたくさんのインタビュー記事があって、どれも面白かったです。 平林:ありがとうございます。 個々の商品についてのお話はそれらの記事で十分お話をされているので、「日経ビジネス」として、どこを深掘りさせていただければいいかなと、ここへ来る道すがら考えていまして……。 平林:私も、日経ビジネスの読者さんに、どんなことをお話しをすればいいんだろう、と思っていました。 ●「めんどくさい」を突破するには でも一つ、記事を読んでいて感じたことがあります。おそらく平林さんは、「仕事として、面白いものをどうやってつくるか」ではなくて、「どうやって仕事を楽しくするか」ということを、常に起点にしているのではないでしょうか。 平林:と、言いますと。 「そうめんスライダー」で言えば、「流しそうめんをプールのウォータースライダー風の玩具で流す」というアイデアを思いつくことも、そして、それらしいものを社内だけで作ることも、もしかしたら、まあできるかも……と思うんです。でも、平林さんは自ら東京サマーランドにアポを取って、専門家に「本物のウォータースライダー」の話を聞きに行ったんですよね。あるいは、ギガサイズのプリンを実現するために、扱ったことのない食材をゼロベースから探し回ったりされてる。 平林:はい。 そういうのって、けっこう「めんどくさい」ことだと思うんですよ。というか仕事ですから、「そこまでやらなくても、普通に、合格点がもらえるだけのことができればいいじゃん」と考えるとか。 平林:そうだと思います。