かつては“裏切り者扱い”も、出戻り社員「アルムナイ採用」が増えた切実な事情
■復帰させてくれた会社には深く感謝 では、実際に元の会社への復帰を果たしたアルムナイは、アルムナイ採用をどう捉えているのでしょうか。当然かもしれませんが、アルムナイは復帰を受け入れてくれた会社に感謝し、アルムナイ採用を肯定的に捉えています。 「他社で違った経験を積むのもいいかなと思い、年収アップという条件にも釣られて転職しました。しかし、転職先は入ってみたら超ブラック企業で、人を大切にする当社の良さを改めて実感しました。アルムナイ採用で復帰できて、本当に良かったです」(エンジニアリング)
「いまの会社の人事担当者は、転職後もずっと私を気に掛けてくれて、親身にキャリア相談に乗ってくれました。人事担当者と私を受け入れてくれた会社には深く感謝しています。復帰して、先輩社員から『昔は出戻りってあり得なかったのになぁ』と言われました。本当に良い世の中になったものです」(金融) 今回、まだ元の会社に復帰していないアルムナイにも取材しましたが、「選択肢が増えるのは良いこと」(サービス)、「元の会社に復帰するつもりはないが、会社にとっても本人にとってもウィンウィンの仕組み」(総合電機)など、肯定的な意見が目立ちました。
■職場のメンバーも復帰者を大歓迎 このように、採用する人事部門にとっても、復帰するアルムナイにとっても、ウィンウィンのアルムナイ採用。復帰者を受け入れる職場のマネジャーやメンバーは、どう捉えているのでしょうか。こちらも、肯定的な意見が大多数でした。 「人が足りないので回してほしいと人事部に要望を出すと、新入社員や(普通の)中途採用者をあてがわれます。その場合、教育訓練して戦力化するまでに時間・手間がかかり、かえって職場の効率が落ちます。一方アルムナイは、その日から戦力になってくれます。アルムナイのおかげで人手不足が緩和され、助かっています」(建設)
ところで、人事管理の専門家は、アルムナイ採用のデメリットとして、復帰する職場のメンバーとの軋轢が生じるというリスクをよく指摘します。この点についてはどうでしょうか。 「当社に復帰したアルムナイは、ちゃんと職場に溶け込んで、はつらつと働いています。(復帰者は)当社のことが嫌で辞めたわけではないし、人事部門は職場に溶け込めそうなアルムナイに限定して採用しているはずです。メンバーとの軋轢は杞憂ではないでしょうか」(エネルギー)