35周年を迎えたNew Balance(ニューバランス) 「1500」が現在もサポートされているワケとは?
と国井さんは笑う。 また「1500」は現在、「576」とともにイギリス製のみに絞られている。イギリスにおいて本場の革靴も手掛けてきた職人が高品質な素材を使い、しかも手作業によって作られるというプレミア感も、ヨーロッパで人気を裏付ける要因だろう。
「実は『1500』は開発デザイナーが、このスティーヴン・スミスを買い取った面白いところだと思います。スティーヴン・スミスといえば、『ポンプフューリー』の生みの親し、ナイキをはじめアディダス、リーボックなど数々のブランドに在籍した経歴があります」 後にはアディダスがカニエ・ウェストとコラボした「イージーブースト」のプロジェクトにも参画しているスニーカー界の巨匠が、デザイナーを務めたことでも1000番台の中で異彩を放つ理由でもある。
「ニューバランス」らしいクラシックデザインは健在
今年は「1500」の発売から35周年ということで、アニバーサリーモデルも発売されました。ニューバランスが「1500」に託す想いを国井さんはこう語る。 「一時期『1500』はアメリカ製、イギリス製、アジア製と幅広く展開しています。ただ、ヨーロッパで人気が高いということで現在は生産地もイギリスに絞られているところから、一言で言うと“大切にされている”品番ではあります。
また、他のモデルと同じように35周年だからといって無理やりやって、翌年にはなかったことになる……ということもなく、厳かに節目の年を記念している、ニューバランスが『1500』にかける想いを感じます。 過去のアーカイブをきちんと紹介しているわけではありませんが、そこにモダンなストーリーを付加させるよりは、本来持っている『1500』の魅力だけで勝負しているのも尊敬できますよね」 確かに35周年モデルでも、カラーリングやデザイン、機能はそのままにアッパー素材が上質なものになったり、ヒールのクラシカルなNBロゴがリバイバルしたりと、以前から「1500」を知っている人が見れば、ほくそ笑むような細かいディテールの変化が楽しめます。
国井さんは最後にこう語る。 「これまで『1500』が好きだった人はもちろんですが、これから『1500』を体験していく人が、手に取ったら『へぇ~』と声を上げ、履いたら『おぉ~』と変わるように“A”から“O”に引き上げてくれるような魅力を持ったシューズが『1500』だと思います」 これから40周年に向かっていく「1500」。流行に左右されないそのデザインは、いつの時代もその足元にすっと馴染んでくれる。相変わらず魅力に気づく人がますます増えていくのは間違いない。