「プロでいい思い出ない」高卒2年目で引退の理由は…「育成契約を拒否」自ら退団を選んだ男たち
だが、1軍のレギュラー獲りが期待された翌20年の開幕直前、打撃練習中に右手有鈎骨を骨折する不運に見舞われ、手術を経て8月に3軍戦で復帰したのもつかの間、今度は右肘痛に苦しんだ。 球団は治療に専念させるため、3年目は育成契約を結び、21年も2軍戦で出場21試合に終わると、4年目も育成再契約を打診した。これに対し、あくまで支配下での契約を望む山下は「ケガもして、思うようにいかなかった。何かを変化させようと思った」とリスクを承知の上で巨人を退団し、トライアウトに挑んだ。 だが、獲得に名乗りを挙げるNPB球団はなく、声をかけてくれた三菱重工Eastでプレーを続け、NPB復帰を目指そうと決意する。三菱重工Westに移籍した今年は、都市対抗に出場し、巨人時代に記録できなかった“東京ドーム初安打を実現した。(文・久保田龍雄) 久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
久保田龍雄