合体換装でジャンルも性能も変化する3輪バイク「Raptor」登場
ヤマハのLMWに次ぐ独自のリーン機構
現状発売に向けて制作されているのは、最高時速40km/hの原付き区分3輪モデルのみ。この車体で採用された前2輪/後1輪の3輪ベースユニット機構もまた独特だ。ヤマハのトリシティやNIKENといったLMWと同様に、Raptorも操舵や荷重移動によって車体が傾くため、こちらもれっきとしたバイクなのだ。ただし、こちらはヤマハのそれとは違い、可変式差動リーンダンパと呼ばれる独自機構となっている。 ざっくりいうと、左右のスイングアームに接続されたリンクがハンドルの動きに合わせて前後することで、左右のタイヤに内輪差が生じ、車両が傾くといった具合だ。左右のスイングアームがアクスルシャフトでつながっていないとはいえ、機構としてはBimotaが伝統的に採用しているハブセンター・ステアリングに近いといえそうだ。 もっとも左右のホイールを制御する機構が左右で独立しているためか、バンク角は最大で30°となっている。ヤマハのLMWが38°~45°というバンク角を実現していることを鑑みると、若干浅い。基本的には低速走行をメインとした、シティコミューターとして設計されているといえそうだ。 とはいえ、可変式差動リーンダンパにはLMWにはない機能もある。それはバンク角やバンクするために必要な力、バンクの速さをすべて設定可能だということ。バンク角にいたっては0°、つまりほぼ固定することで、トライク的な乗り方にも対応できるのだ。ユーザーニーズに幅広く対応しようという試みなのだろう。
クルマの免許でも乗れる3輪バイク
これからの展開が楽しみなRaptorは、第1弾となる3輪バイクが2024年中の販売に向けて開発中。価格はミドルクラスのバイク程度を予定しているというので、原付区分の車両とみた場合には少々高価なのは否めない。合体換装のギミックや将来性にロマンを感じるかによって評価はわかれそうだ。 それでも個人個人のセンスを生かせる、EVの新しいプラットフォームを構築しようという意欲にはどこか惹かれるものがある。ROIZ TECHのこれからの取組みに注目したい。 ────────── ROIZ TECH Raptorスペック ────────── ・全長/全幅/全高(デザインユニット+ベースユニット):1,190[mm]/510[mm]/880 [mm] ・全長/全幅/全高(ベースユニット):1,150[mm]/510[mm]/440[mm]ホイールベース850[mm]トレッド430[mm]リーン角度0~30[deg] ・車両重量:54[kg] ・総重量:デザインユニット15.7[kg]/ベースユニット38.3[kg]※ バッテリ含む ・巡航速度:0~40[km/h] (速度制限設定可能) ・航続距離:40km [km/h] (バッテリー容量/ 負荷状況による) ・バッテリー電圧:48V ・充電時間:~7時間(バッテリー容量、充電器による)
石川順一