「めちゃくちゃ閉店してる」との声もあるが…。「ミスド」長寿店舗・秋葉原店が閉店も、業績は”絶好調”の背景
「回復」といったのは、ミスド、2021年期には店舗数が961まで減っていたからだ。2014年3月の1350店舗と比較すると、400店舗近くが閉店するという、文字通りの「大量閉店」が起こっていたのだ。 割合で言えば29%の店舗が閉鎖となった計算になり、事実、売り上げでみても2014年期から営業赤字が続いていた。 同社はその理由を「カフェ」業態が台頭してきたことによって客足を奪われたことや、「テイクアウト」だけに頼る収益構造になっていたことに求めている。
だが、そこから現在まで店舗数が回復している。 ■赤字からの脱却にあった「商品戦略」と「空間戦略」 実はこうした業績の向上はコロナ禍直後の2021年から起こっているが、その背景には意欲的なメニュー戦略がある。2017年からはじめた他社製品との共同開発メニュー「misdo meets」など、新製品がヒットを飛ばしたのだ。 これは、GODIVAや祇園辻利といった他のメーカーと共同で開発したドーナツとのことだが、その人気が高く、ミスド人気に火を付けた。また、ブランドとのコラボの他にもポケモンやミニオンなど、キャラクターをはじめとしたIPとのコラボレーションも人気を博している。
実は、もう一つの回復原因が「店舗の改装」。24年3月期では103店舗が改装されているが、実はこの動きは2018年ごろから起こっていて、前述した営業赤字に対応するため、ドーナツの持ち帰りだけでなく、店内飲食を重視した造りに店の構造を変えていった。 そのため、店内にはソファ席やコンセントなども作り、外観もおしゃれで入りやすい黒を基調としたものにした。改装が難しい店舗は移転や閉店が検討され、実際、「閉店になった店舗の、近いところで新たな店舗がオープンする」という事例が増えている(福山松永店が閉店し、東尾道店として移転予定……など)。
つまり、改装のために閉店したりリニューアルしたりする店舗もあり、決して閉店がマイナスな意味だけではないことに注目したい。 ミスドは「空間への注力」を行っているのである。 ここからは筆者の持論なのだが、ミスドの「空間への注力」は、コロナ禍以後の成長を大きく支えたのではないかと感じている。 というのも、コロナ禍による外出自粛の反動なのか、飲食業界の多くでリアル店舗への客数の増加が起こっている。