水を主成分とする世界最高の蓄熱密度を備えた新たな蓄熱材
両社の役割と感温性高分子ゲルの特徴
両者は2016年から共同研究を行ってきた。高い階層構造ポリマー合成技術を保有する東京科学大学において、感温性高分子ゲルの合成法を検討し、合成原料の選定と合成反応経路の設計を実施した。三菱電機では、感温性高分子ゲルをラボレベルで合成して、評価し、60℃以下の低い蓄熱温度で世界最高の蓄熱密度(562kJ/l)を実現。東京科学大学が開発した合成反応制御技術により、感温性高分子ゲルの均質化を達成し、大量の感温性高分子ゲルを合成して試作した蓄熱材でもラボレベルと同等の蓄熱密度を実現した。 蓄熱温度が30~60℃(温度差30℃)における蓄熱材ごとの蓄熱密度を比較したところ、温水で125kJ/l、市販品である脂肪酸で225kJ/l、パラフィンで260kJ/lであるのに対し、開発した感温性高分子ゲルは562kJ/lと2倍以上の圧倒的な蓄熱密度を有す。 今後、三菱電機は感温性高分子ゲルの蓄熱温度範囲の拡大に取り組み、未利用熱の有効利用を推進することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する。
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