異色のエンデューロマシン【モト・グッツィ】「V85TT Travel」とは!?懐かしさとテクノロジーの融合がイイ
優れたウィンドプロテクション性能
モト・グッツィのエンジニアが重点的に取り組んでいる分野のひとつに、空力におけるプロテクション性能がある。これには広範囲にわたるCFD(数値流体力学)シミュレーションや数多くの風洞実験など、細心の注意を払った改良作業が行われた。 形状が改良された新しいウィンドスクリーンは、手動で高さを70mmの範囲で5段階に調整できる。このあらゆる状況での保護効果が大幅に改善したトラベルバージョン専用のツーリングスクリーンは、標準バージョン(日本未導入)と比較して表面積が22%増加し、さらに新たにサイドデフレクターが追加されたこともあり、その結果、ライダーのヘルメットにかかる風圧はV85TT(標準バージョン)と比較して50%減少させられた。 また、より幅が広く、保護性能の高い新しいハンドガードを採用して快適性の向上に貢献している。タンクの前部には新たに特許を取得したカバーを追加することにより、ライダーの胸部と顎に向かう空気の流れを効果的に減少させている。
新型の5インチTFTメーターパネル
より大きくなった新設計の5インチTFTカラーディスプレイは、あらゆる情報をより見やすく表示できる。ハンドルバースイッチも新しくなり、クルーズコントロールを含むすべての機能に、より簡単で直感的にアクセスできるようになった。
V85TTはさらに使いやすく、快適で、安全に
V85TTのフレームは高張力スチールパイプで作られており、独自のエンジンマウントを利用して頑丈なフレームワークを形成している。このフレームワークは、オンロードでの正確性と安定性を向上させるだけでなく、オフロード走行時の耐久性と安心感も提供している。極めて合理的かつ効率的なシャシーレイアウトは、快適性と安全性をさらに高めるために改良された。 新V85TT Travelのリアショックアブソーバーには、便利なダイヤル式のスプリングプリロード調整機能が追加されている。これにより、パッセンジャーを乗せての走行や、荷物を運んだ際に、バイクのセットアップを素早く行うことが可能となった。サスペンションは前後とも170mmの十分なホイールトラベル量を確保し、余裕のある210mmの最低地上高によってさらに高いオフロード性能を実現している。 6軸慣性プラットフォームを搭載するなど電子制御も充実している。加速度計とジャイロスコープを備えたこの高度なシステムは、路面に対するバイクの姿勢を検出し、走行から得られた入力を記録して処理し、データをECUに送信する。これにより、電子制御の管理がさらに細かく正確になり、コーナリングABSやコーナリングトラクションコントロールの機能が有効化することにより、リーンアングルに応じてブレーキ力とエンジン出力を調整して安全性とパフォーマンスを向上させる。 ブレーキシステムは、フロントにφ320mmのダブルディスクと、ステンレスメッシュホースを介してマスターシリンダーに接続されたBrembo製対向4ピストンのラジアルマウントモノブロックキャリパーで構成され、リアにはφ260mmのシングルディスクに2ピストンフローティングキャリパーを組み合わせている。 トラクションコントロール(MGCT)、ABS、ライド・バイ・ワイヤスロットルレスポンスなどすべての電子制御の作動調整は、ライディングモードを通じて簡単に切替が可能とされている。 ロード、スポーツ、レインのライディングモードに加え、オフロード走行に特化したオフロードモードが設定されている。このモードでは、トラクションコントロールの介入レベルが最も低く、前輪のみABSがアクティブになる(前輪のABSを無効にすることも可能)設定で、エンジンブレーキを強力にしてスロットルレスポンスをよりスムーズにする。 さらにV85TT Travelにはカスタムモードも搭載されていて、電子制御のレベルを完全にカスタマイズしてパーソナライズされたモードを作成することも可能だ。また、アクセル操作なしで設定した速度を維持できるクルーズコントロールも装 備しており、ひとつのスイッチの直感的な操作で作動し、設定速度の増減も行える。