「プラモデル」のように購入者が組み立てる段ボール素材のスツール 遊び心と老舗の技術詰め込む
テレビ愛知
新型コロナウイルスの影響で経営危機に陥った愛知県春日井市の長江紙器が、起死回生の一手を狙った商品を開発しました。私たちもよく知る身近な梱包用素材を使った「スツール」です。
親子が一緒に楽しめる商品を開発
創業57年間、工業用部品を梱包するための段ボールを作り続けている長江紙器。一時は新型コロナウイルスの影響で出荷量が激減。社長の長江晃さんは「まずいな、と思いながら、正直『何をしよう』という気持ちもありました」と当時を振り返ります。 そこで自社商品として手がけたのが、段ボールで作られた「スツール」です。 長江紙器 長江 晃社長: 「コロナ禍で親と子どもが一緒に過ごす時間が長くなったと思います。そこを充実した時間をものづくりで一緒に楽しめるものはないか、との思いで子どもも使える商品におさまったのがスツールでした」
スツールの注文が入ると、材料となる段ボールをセット。機械でパーツをカットします。組み立てはせず、箱に詰めて梱包します。 長江紙器のスツールはプラモデルのようにパーツをくり抜くところからスタートするといいます。
「親子で作ってもらい、親子で組み立てる時間を有意義に過ごしていただく。そして、作ったものを長く愛着を持って使っていただければうれしいです」
より強度な段ボ―ルの構造に
スツールの強度を確保するために、半世紀を超える段ボールづくりのノウハウを注ぎ込みました。通常の段ボールは表面と裏面が3枚構造になっています。一方、強化段ボールは紙自体が重く、強いです。2枚重ねにすることで、より強度が増す構造になっています。
通常の段ボールと、強化段ボールの強度の違いは一目瞭然。200キロの重りをのせると強化段ボールはびくともせず、中の荷物も無事でした。こうして生まれた商品が客のもとへ届けられます。 実際に長江紙器のスツールを購入した伊藤さん親子に話を聞きました。
――購入した決め手は何ですか。 伊藤真理子さん: 「気に入ったものを買うのもすごく素敵ですが、自分で作ったっていう思い出になるところが決め手になりました」 届いたスツールのパーツを親子でくり抜き、組み立てます。 ――実際に組み立ててみて、いかがでしたか。 真理子さん: 「子どもと2人で相談しながら作っていく。その過程で、私も子ども心に戻ることができて楽しかったです。『できた!』という達成感を子どもと味わうことができて、うれしかったです。材料が身近な段ボールというのも良いですね」 娘の凜香さんに座り心地を聞くと、「頑丈。段ボールだけど大丈夫」と笑顔で話します。
長江紙器 長江 晃社長: 「作ったものが世に出回るのは非常に素晴らしいと思いました。今までとは違い、設計から製造販売まで一貫して行っています。これからも、さまざまな商品開発を続けて、社員のモチベーションアップにつなげていきたいです」
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