餅が喉に詰まって窒息…重要な発生後の4分間 応急手当て2つの方法、救急の専門家が解説
年末年始は楽しいイベントが多い一方、救急搬送の件数が増加する時季。毎年のようにニュースになるのが高齢者が餅を詰まらせて窒息死する事故。福井大医学部附属病院救急部の神川洋平特命助教に解説してもらった。 消費者庁によると、2018、19年に餅による窒息で死亡した65歳以上は計661人いて、うち2割が正月三が日に集中。同病院でも毎年救急搬送があるという。高齢者は▽かむ力▽飲み込む力▽せきで押し返す力-が弱くなり、特に注意が必要だ。 異物が喉に詰まり、窒息に陥った人は、親指と人さし指で喉をつかむ「チョークサイン」を見せることが多い。「窒息してから4分以上経過すると、脳の酸素不足で救命率が下がる。救命には周囲の適切な処置が重要」と強調する。 応急手当ての方法は二つ。まずは背中を力強くたたいて詰まった餅をはき出させる「背部叩打(こうだ)法」を試す。左右の肩甲骨の真ん中を、手のひらの付け根部分で力強く何度もたたく。「患者の上体を倒して行うことがポイント」 背部叩打法で効果がない場合は、おなかを圧迫する「腹部突き上げ法」を試みる。(1)後ろから抱えるように腕を回す(2)片手で握り拳を作り、親指側をへそとみぞおちの間に当てる(3)拳をもう一方の手で包むように握り、みぞおちを圧迫するように自分側に向けて一気に引き上げる。腹部突き上げ法は、乳児や妊婦には行ってはいけない。 【予防のポイント】 ▽餅を小さく切り、食べやすい大きさにする▽お茶や汁物を飲んで喉を潤してから食べる▽ゆっくりとよくかんでから飲み込む▽できるだけ1人で食べない。
福井新聞社