キュートで話題の和菓子「どうぶつえん」開発の秘密に迫る
つぶらな瞳、小さな手足、愛くるしい表情──。愛知県名古屋市の和菓子店「浪越軒」が作る「どうぶつえん」シリーズがツイッターなどのSNSを中心に話題を集めている。「かわいくてつい買っちゃった」「食べるのがもったいない」「手作り感がステキ」など多くの声が見られるなど、評判は上々だ。しかし、なぜ、これほどまでに注目されているのだろうか。同店担当者に、製作に至った経緯やどうして人気に火がついたかなどを聞いてみた。
女性目線のこだわりで「かわいい」クオリティ
動物園や水族館で見られる生き物をモチーフにした、浪越軒の「どうぶつえん」と「すいぞくかん」。コアラ、ゾウ、ペンギン、ラッコなどの生き物がひと口サイズの饅頭で表現されており、思わず「かわいい!」と声を上げてしまうキュートな見た目が特徴だ。 「見た目の『かわいい』というクオリティに、とにかくこだわっています。生き物の再現にとらわれ、リアル過ぎてもいけませんので」と話すのは企画室部長の横井修さん。 「モチーフとなる生き物の目・口・鼻・耳・模様など、すべてを職人による手作業で製造しています。品質や作業の手間暇を含めて、会社規模がそこまで大きくない弊社だからこそ実現できていると思いますね。規模が大きければ生産コストがかかり過ぎているし、小さければ県外での販売に見合う量を生産できません」と続ける。
「干支まんじゅう」から発展していった!?
浪越軒は1927年に名古屋市で創業し、大福餅などの和菓子の製造を行う老舗。かつては「鬼まんじゅう」を看板商品として営業していた。そこで今、話題を集める「どうぶつえん」シリーズの販売に至ったきっかけは、どこにあったのだろうか? 「もともとは、干支をモチーフにした饅頭を作っていました。それが好評で、十二支の次に作ってみたのがパンダ。その次にはアザラシ…といった形で動物が増え、まずは現在の『どうぶつえん』を3年前に発売しました。口コミによりじわじわと広がり、続いて『すいぞくかん』を発売したのが昨年になります」 製造は本社工場で行っており、現在は最高で1日1万個の“どうぶつ”を製造している。手作業のため職人により作業スピードが異なり、販売当初は1日に2000~3000個の製造が限界だったという。販売数が増えるにつれ人員を補填し、個人の能力を上げ1日の製造個数を上げていった。 さらに浪越軒は、「社員の半数以上が女性」というのも特徴。職人の多くが女性で、工場長も女性が担当している。横井さんによると「どうぶつえん」シリーズには、女性ならではの感性が生かされているという。「味や見た目にしても、女性陣がNGを出したら商品化しても上手くはいきません。実際に商品を購入する方も女性が多いので」