「いつも居眠りしてる」とバカにされていた小学生。“隠れた病気”に親さえも気づけなかった|ドラマ『放課後カルテ』
「子どもだからなんだ?」生徒に声を張り上げた理由
本作のメッセージ性の強さにもついつい心を奪われる。終盤、保健室から教室に戻る野咲。元気そうに見える野咲を見たクラスメイトから「やっぱり仮病かよ」「嘘ばっかり」と保健室でサボっていた疑いをかけられ、野咲は思わず「私だってこんな自分嫌いだよ」と泣き始める。するとナルコレプシーの発作が出て、全身の力が一気に抜けてしまう。ただ、牧野が現れて倒れそうになる野咲の身体を支え、そしてナルコレプシーの症状について説明を始める。 しかし、クラスメイトの1人が「そんな都合の良い病気あるか?」と横やりを入れられると、牧野は「周囲の人間が病気を知らないことで、知らず知らずのうちに当人を追い詰める。今お前たちがやってることがそうだよ」とクラスメイトが野咲を馬鹿にしたことにより、症状を悪化させた可能性を荒々しい口調で指摘。 担任教師の篠谷陽子(森川葵)から「先生、子どもにそんな言い方」と反発されるが、間髪入れずに「子どもだからなんだ? 野咲が倒れたのは病気のせいだけか?」「彼女を追い詰めたこいつらに責任がないと言えるか?」と声を張り上げた。
無知のせいで誰かを傷つけていないか?
子ども相手でも躊躇(ちゅうちょ)せず、間違っていることは「間違っている」と注意する姿はどこか新鮮に映り、牧野の言葉は深く胸に刺さった。無知であることが、いかに人を追い詰めるのかを痛感せざるを得ない。それと同時に、野咲のような“普通”と異なる言動を見せる人を、無意識のうちに傷つけていないか不安にもなった。 無知であることが加害行為に繋がるケースは日常生活でも珍しくない。実際、野咲と同じように周囲からの無理解によって苦しんでいる人は、子どもに限らず大人でも少なくないだろう。そういった人たちが無知による攻撃を受けず、理解を促すキッカケになるストーリーが、これからも繰り広げられることに期待したい。 <文/望月悠木> 【望月悠木】 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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