「ネイキッド」って呼び方、いつから始まったんですか?
昔はネイキッドが基本スタイル
日本ではカウリングを装備しないロードスポーツ車を「ネイキッド」と呼ぶのが定着していますが、「naked(ネイキッド)」は形容詞で「裸の」や「剥き出しの」といった意味になります。カウリングで覆われていない、という意味では納得ですが、オフロード車やクルーザー(アメリカンタイプ)もカウリングを装備していません。どうしてロードスポーツ車に、この呼び名が付いたのでしょうか? 【画像】どれもカッコイイ!様々な「ネイキッド」を画像で見る!(10枚)
日本では第2次世界大戦後(1940年代中頃)にバイクの生産が始まりますが、初期の国産バイクは実用車が主流で、その後に派生モデルとしてロードスポーツ車が生まれます。そこから未舗装路を快適に走るスクランブラーやトレール車が登場し、バイクのカテゴリーはオンロードスポーツ、オフロードスポーツ、実用車(スクーター含む)になります。 そしてロードレースの世界では、スピードアップのために空気抵抗を減らすカウリングを装備し、海外では1970年代から市販ロードスポーツ車でカウリング装備車が登場し始めました。 ところが当時の日本は「カウリング装備→スピードが出る→暴走行為を助長」という論法から、カウリングの装備が認可されませんでした(アフターパーツのカウリングを装着すると違法改造)。 世界的に大ヒットしたホンダの「ドリームCB750FOUR」や、以降のライバル車はもちろん、1980年代初頭に盛り上がった空前のバイクブームで主軸だった250/400ccクラスもカウリングは非装備です。そのため、当然ながらネイキッドという呼称は存在しませんでした。
レプリカのカウリングを「脱がした」から!?
ところが、バイクブームの勢いから国内でのレースの盛り上がりやバイクメーカーの熱心な働きかけなどもあり、1982年の中頃に遂に国内でカウリングの認可が下りました。ちなみに国内販売モデルで初のカウリング装備は、1982年7月発売のホンダ「CBX400Fインテグラ」になります。
そしてバイクブームは「レーサーレプリカ」ブームに移行します。既存のバイクにカウリングを後付けするのではなく、最初から本格的なカウリングを装備したスズキの「RG250Γ(ガンマ)」が1983年に発売されると、250/400ccクラスを筆頭に、原付スポーツやナナハン(750ccクラス)にもレプリカの波が押し寄せました。 こうして国内で主流の250/400ccクラスは「高性能ロードスポーツ=レーサーレプリカ」がほとんどになり、カウリングを装備しない車両はクルーザー(いわゆるアメリカン)か、マニアックな単気筒のようなニッチなモデルばかりになりました。そうなると「カウリングの付いていないロードスポーツ車が欲しい」という要望が上がってきます。 そんな声にヤマハが応え、1985年に発売したのが「FZ400N」です。前年に発売したレーサーレプリカの「FZ400R」から、まさにカウリングを剥がしたスタイルで、カタログには「美しきネイキッド、FZ400N」のキャッチコピーがありました。