日本メーカーよ本気出せ!! 加賀山就臣が日本の2輪モータースポーツを変える──イタリア大使館で参戦体制発表
勝つための体制づくりを2023年春から模索
黒船襲来──そんなテーマで全日本ロードレースに新たな波を起こす。加賀山就臣がドゥカティのファクトリーマシンでJSB1000に参戦する、そのチーム体制発表会がイタリア大使館で行われた。この人がやることは、いつも桁外れた。 【動画】DUCATI Team KAGAYAMA 体制発表~加賀山就臣、水野涼は何を語る?
勝ちたいからドゥカティを選んだ。日本メーカーに喧嘩を売りに行く
加賀山就臣さんと言えば、スズキで長年にわたってライダーを務め、全日本ロードレースのみならずスーパーバイク世界選手権(WSBK)、英国スーパーバイク世界選手権(BSB)、世界耐久選手権(EWC)を舞台にレース活動を行ってきた。MotoGPにスポット参戦したこともある。 そんな加賀山さんに転機が訪れたのは2022年。春に全日本ロードレースからの現役引退を発表し、それまでもプレイングマネージャーとして活躍してはいたが、運営側に集中していくことになる。そんな年の年末に、スズキがMotoGPをはじめとした主なレース活動から撤退し、社内のレース部門まで解体されてしまったのだ。 「レーシングライダーですからね。スズキの決断の重さは誰よりもよくわかる。かといって自分はモータースポーツを続けたい。そんな思いで、2023年春にドゥカティコルセに企画書を出したんです。以前から繋がりのあったパウロ・チャバティ(ドゥカティコルセのスポーティングディテクター)を通じて、パニガーレV4Rのキット車を貸してくれないか、ヤマハ、ホンダに勝ちたいんだ、って。そして半年が経ち、10月のもてぎの日本GPのときにドゥカティコルセの首脳陣とミーティングして、『お前が今までやってきたことは全部調べた。どうせやるなら我々のチャンピオンマシンを使え』という話になりました」 あっけにとられるような提案だったという。今までにもモータースポーツのさまざまな文化を切り拓いてきた加賀山さんをもってしても驚きだったようだ。 時間は大きく飛んで2024年2月15日。イタリア大使館でDUCATI Team KAGAYAMAの参戦体制発表が行われた。駐日イタリア大使がモータースポーツ(およびドゥカティ)好きだったことなど追い風もあったというが、なにしろモータースポーツのチーム発表をこうした公的機関で開催することは、日本の文化ではまずありえない。 ──左から、加賀山就臣さん、水野涼選手、MFJ会長 鈴木哲夫さん、ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使、ドゥカティジャパン マッツ・リンドストレーム社長。イタリア大使館はかつての大名屋敷跡に建てられており、その庭園は都内で最も格式と由緒ある名園のひとつと言われている。原型は沢庵和尚の作との説も。