飲酒運転で親子を車ではね死傷 遺族訴え「優しく頼もしい母だった」検察は懲役12年求刑 岸和田市 24日に判決 大阪地裁堺支部
去年、大阪府岸和田市で酒を飲んで車を運転し、親子をはねて母親を死亡させ息子に大ケガをさせた危険運転致死傷の罪に問われている男の裁判員裁判で19日、遺族が法廷で「とても優しくて頼もしい母だった。私たちに計り知れない悲しみをもたらした。被告人には、できるだけ重い刑が下されるべきだと思う」と訴えました。一方、検察は被告に対し懲役12年を求刑しました。 起訴状などによりますと、無職の岩井拓弥被告(31)は、2023年12月30日の朝、岸和田市で酒を飲んで車を運転し対向車線の路側帯に侵入。歩いていた大久保春江さん(当時82)とその息子(50代)をはねて、大久保さんを死亡させた上、息子に大ケガさせたとして危険運転致死傷の罪に問われています。
18日に大阪地裁堺支部で始まった裁判で、岩井被告は「間違いありません」と述べ起訴内容を認めました。 検察側は冒頭陳述で、「被告は事件前日、知人との忘年会に参加するため岩井被告は車で飲食店に向かったが、その理由は電車の時刻に拘束されるのが煩わしいということと、新しく買った車を知人に見せたいということだった」と指摘。さらに「午後8時半ごろに店に着くと翌朝5時まで4軒の店で飲酒。車で帰る途中、午前6時50分ごろに路上で停止して睡眠をとると10分後に再び発進し、直後に事故を起こした」と明らかにしました。 一方の弁護側は「事件前日、岩井被告は仕事納めで、朝5時ごろに家を出て午後6時ごろに帰宅した。以前にも酒を飲む場に車で行くことはよくあったが、いつもは運転代行を呼んでいてこの日もそのつもりだった」と述べました。その上で事件前後の経緯について、「1軒目の店でビールジョッキを8杯ぐらい飲み、疲れからかいつもより酔いが回るのが早かったようだった。別グループに誘われてダーツやカラオケに行ったことは覚えているが会話などの記憶はおぼろげで、車を運転した状況は記憶がなく、事件当日の昼ごろに病院のベッドの上で目を覚ました時から意識がはっきりしている。母と妹が面会に来た際に、初めて人が人が亡くなったことを知った」と説明しました。