山崎怜奈はなぜこんなに嫌われる? 石丸伸二氏ともバトル…「若者世代」を背負うアイドルコメンテーターの限界
お利口タレントよりおバカタレントの方が長寿な芸能界 アイドル界のセカンドキャリアとしてコメンテーターは悪手?
気負ってしゃべればしゃべるほど、才女どころか生意気と言われてしまう山崎さん。ベッキーさんしかり小島瑠璃子さんしかり、口と頭がよく回る若い女性タレントは意外と寿命が短いもの。平時では立ち回りのうまさとして評価されていた適応力が、ひとたびスキャンダルに見舞われると「計算高い」印象に一気に変わってしまう。 ただ、そもそも女性タレントの「賢さ」というのは、「何を語るか」よりも「何を語らないでいられるか」で測られているのではないか。クイズ番組を主戦場とした高学歴タレントと違い、山崎さんのように幅広くトーク力を発揮したい女性タレントにとっては、正解を知っていることよりも言い返したい時にぐっとこらえることのできる「品の良さ」が「頭の良さ」と判断されている。そういう意味でも、山崎さんが強い口調で自己正当化すればするほど、残念ながら才女タレントというイメージからは遠ざかっているように思えてならない。 「おバカタレントは本当のバカにはできない」という言葉もよく聞く。おバカと下に見られても反論せずにキャラを演じ切り、「実は賢い」イメージに転じたタレントは多い。令和の今もバラエティーで活躍する若槻千夏さん、メジャーリーガーを支える良妻賢母にイメージチェンジした里田まいさん、不思議な言語感覚を絶賛された滝沢カレンさん。「めちゃ×2イケてるッ!」で行われた抜き打ちテストで珍回答を連発していた辻希美さんや重盛さと美さんは、現在ではタレント業の傍らでアパレルなどのビジネスも手がけている。みな常識外れの発言やテンションの高さが批判された時期もあったが、いちいち怒ることもなく、にこにこと「おバカ」イメージに耐えていたのだろう。爪痕を残すためだけに誰かと対立構造を作ったりしなくていい、という達観した意識を内側に持つことで、好感度をキープし続けることができたのではないだろうか。
状況に応じて「若さ」を使い分ける山崎さんの賢さ 自身がかみつく政治家に似たタレントイメージの行方は
一方で山崎さんは、思いもよらない批判に対する耐性は低い人なのだろう。特に石丸さんとのやり取りに関してはずいぶんと思うところがあるようだ。騒動直後の「あー怖かった」「いかなる相手にも礼節ある態度を取る、その余裕がない人が首都・東京を治めることになっていたら、どんな4年間になっていただろう」というポストや、先のバラエティーでも「もうちょっと血の通った人間だと思って会話してたのに」と、「年上に理不尽に痛めつけられた若者」とアピールするような発言が止まらない。 若さゆえの至らなさを盾にする、質問者としての攻撃的な顔。若さゆえの無力さをアピールする、被害者としての顔。状況に応じて「若さ」のメリットを使い分ける山崎さんは、確かに頭が良いのだろう。けれども「私は若者代表」とどんなに息巻いたところで、彼女は「外れ値」である。AO入試で慶應に入り、アイドルとしても人気を博し、20代で高年収を手にしている。いわば山崎さんがかみつく政治家らと同じ、国民の上澄みであり恵まれた人と見られることは免れない。 山崎さんは「何言ってもたたきたい人の玩具にされがち」と自己分析しているが、それはまさに政治家たちの嘆きと同じであることに、気付いているだろうか。 そう考えると、山崎さんが一市民の立場でコメンテーターをするなんて、どだい無理な注文だったのかもしれない。政治家転身について2年前は否定していた山崎さんだが、頭の回転の速さといい負けず嫌いな性格といい、実に政治家向きだと思う。彼女がもう若者と呼べなくなった年齢に差し掛かった時、どういう「賢い」セカンドキャリアを選ぶのかはちょっと興味がある。
冨士海ネコ(ライター) デイリー新潮編集部
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