乳歯の虫歯も治療が必要 「不要」という間違った知識に注意
[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](342) 患者さんから受ける質問の中で、歯科医の私が「最も典型的な間違った知識・考え方です」と答える質問が二つあります。 【写真】「口腔崩壊」状態にある8歳男児の口の中 Q 乳歯は生え変わるから虫歯になっても治療の必要はありませんよね? A 乳歯だって虫歯になれば痛みが出ます。それをいつ生え変わるかも分からないまま何年も放置しておくのは、ネグレクト(育児放棄)に相当すると大学では教えられます。 さらに、重度の虫歯になると(乳歯でも永久歯でも)歯の根の先にうみがたまります。乳歯の根の先にたまったうみの中をくぐって生えてきた永久歯は、その形や色が普通とは違ってしまうものもあります。 Q フッ素(PFOSと表現する方もいます)には毒性があるんですか? A まず、歯医者が虫歯予防に良いと勧めるのは、正確には「フッ化ナトリウム」という物質であり、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とは完全に違う物質です(最近は泡消火剤からの流出で話題ですね)。「塩」と「塩酸」よりもかけ離れた物質と思っていいかもしれません。 「毒性」に関しては少し難しくなるので詳細は省きますが、要するに「体に害をなす性質」と定義すれば、この世の全ての物質には毒性があります。例えば、しょうゆも焼酎も1升を一気飲みすれば普通の人間は死にます。日常の飲食物ですら適正量を守らなければ、全て「毒性」を持つのです。 ではフッ化ナトリウムはというと、国内で流通する歯磨き粉のほとんどにはフッ化ナトリウムが配合されていますが、体重20キロの子どもであれば、歯磨き粉1本程度丸のみしてしまうと中毒を起こす可能性があります。しかし、歯磨き粉は吐き出すのが前提で使用するものなので、歯磨き粉でフッ素中毒を起こす可能性はほぼ皆無と考えていいでしょう。もっと詳しく知りたい方はかかりつけの歯科医にお尋ねください。=第3水曜日掲載 (東建太・なんじぃデンタルクリニック=南城市)