違法薬物、現金、古い銃まで…滋賀県警で「証拠品放置」 40年以上、3800点超ずさん管理
滋賀県警の複数の警察署で、3800点を超える大量の証拠品が放置されていたことが判明した。不適切な証拠品の管理は40年以上にわたっていた。同様のケースは全国の警察で相次いで発覚しており、警察OBは「証拠品管理の基本動作を改めて徹底すべきだ」と警鐘を鳴らす。 【写真】40年超の証拠品放置が発覚した滋賀県警 県警によると、放置が確認されたのは、県内12署のうち7署。最も多かったのは彦根署の2221点で、違法薬物や刀剣類、現金などのほか、明治~昭和期に軍用として使われた拳銃も含まれていた。ほかには、守山署887点▽高島署623点▽長浜署51点▽木之本署28点▽東近江署11点▽大津北署8点―だった。 県警は昨年10月以降、全警察署を一斉点検。現役の警察官約70人に聞き取ったところ、大半が「証拠品が置かれていること自体、全く知らなかった」と回答。報道陣の取材に対し、捜査幹部は「不適切としか言いようがない」とずさんな管理を認めざるを得なかった。 県警の内規では、証拠品を押収した場合、「証拠物件管理簿」に押収した年月日や事件名、場所、所有者などを記載し、各署にある専用の保管庫に収めなければならないと定める。放置されていた証拠は、いずれもこの手続きを経ていなかった。 さらに、見つかった証拠品は古いもので昭和50年代に押収されたとみられる。当時を知る警察官はすでに退職しており、放置されてきた経緯は不明なままだ。責任の所在も明らかにできず、県警は今後、各署への業務指導をして再発防止を徹底するとしている。 証拠品や捜査資料の不適切な取り扱いを巡っては、過去に他府県警でも発覚している。大阪府警では2016年、1万点近くの証拠品などを放置し、いずれも事件の公訴時効が成立していたと公表。警視庁や福岡県警でも確認された。 福岡、香川両県警で本部長を務めた京都産業大の岡部正勝教授(警察行政法)は「異動に伴う引き継ぎなど基本的な動作や手続きを怠っていた可能性がある」と指摘。その上で、「証拠品1点ずつにQRコードを付けて一元管理するなど、電子管理の導入も検討すべき」と話している。