姫路城は「二重価格」導入を検討、増える訪日客への対応を模索
(ブルームバーグ): 訪日客の増加で消費の拡大に期待が高まる半面、観光客が押し寄せることで景観や地域住民の生活への悪影響、文化財への損傷やマナー違反といった問題も目立ち、オーバーツーリズムの予防に向けた議論や取り組みも現れ始めた。
5月の訪日外客数は304万100人となり、前年同月比で60%増、2019年同月比で9.6%増となった。3カ月連続で300万人を超えた。日本政府観光局(JNTO)によると、韓国、シンガポールのほか米国などからの増加が押し上げ要因になった。23市場のうち19市場で5月として過去最高になったほか、インドは単月の過去最高となった。
訪日客数は堅調に推移するが、過度な混雑が続けば旅行者の満足度が下がり、再訪が見込めなくなる可能性もある。オーバーツーリズムは日本にとって喫緊の課題だ。
外国の人は30ドル
兵庫県姫路市の清元秀泰市長は、16日に開催されたシンポジウムで、姫路城の保存修理技術の継承に費用がかかることを理由に、「外国の人は30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」と述べた。姫路市は10年ごとに料金を見直している。
姫路城管理事務所によると、今後10年で必要な費用を考慮した上で2025年の改定をめどに新たな入城料の検討を進めており、二重価格の導入も選択肢だ。大規模改修を終えた15年には600円から1000円に引き上げられた。
外国人などが軽装で弾丸登山をしてトラブルになることがたびたび報道される富士山では、山梨県が吉田ルートで1日4000人の人数制限や1人当たり2000円の通行料徴収などを始める。人数制限や通行料徴収を行わない静岡県は、登山前の事前登録と事前学習を求める。
「舞妓パパラッチ」問題が深刻化する京都市東山区の祇園では、私道の通り抜けの禁止を示す高札を設置、違反者から1万円を徴収すると決めた。山梨県富士河口湖町では富士山を背景にコンビニの写真が撮れると観光客が殺到、撮影を防ぐために黒幕が設置された。