阪神・島田 再起への希望見た「6・27」第1打席 昨季打率・145からV字回復の予兆
阪神・島田海吏外野手(28)にとって、今季は野球人生を大きく左右する一年になった。打率・145の昨季から見事に巻き返し、同・275。開幕1軍を果たし、4月2日DeNA戦のシーズン初打席で代打安打を放つも、先発投手登録の関係で翌3日に2軍へ。再昇格が5月28日までずれ込み、62試合出場(昨季は101試合)にとどまったものの、バットは鮮やかなV字回復を遂げた。 昨オフはチームの38年ぶり日本一を素直に喜びつつも、悔恨が胸に宿った。沈黙の成績に祝賀ムードは吹っ飛び「このままではクビになる」と吐露したことも、一度や二度ではない。崖っぷちからの再起へ、28歳が確かな希望を見た打席がある。「1番・中堅」で今季初先発した6月27日中日戦、第1打席だ。 マウンドには梅津。初球の150キロ、2球目の152キロを、島田は続けて左方向へファウルを放った。早々に2ストライクと追い込まれながら、フォーク2球、直球2球を見極め、四球をゲット。この「左方向へのファウル2球」がカギだったと島田は回想する。 「球を呼び込んで打つことについては自信がある。初球からスイングする持ち味も出せて、呼び込んだ結果の、左方向へのファウルだった。“きょうはいける”と思った」 四球という結果はさておき、平常心でプレーできている事実が何より背中を押した。初スタメンのほどよい緊張を感じつつ、ファーストストライクから仕掛けた。追い込まれてもフォークに体が突っ込まず、際どい球を見切ることができた。「初球から振れるかどうか、これがバロメーター」。2打席目は7球目に二塁内野安打、4打席目は5球目に中前打。4打席で竜投に計24球投げさせた功績も大きく、8―1の快勝に貢献。22年には123試合で打率・264を残した巧打者が“カムバック”への足がかりを築いた夜だった。 年々、守備固めや代走での起用が増える中でも、外野の一角を虎視眈々(たんたん)と狙う。今月1~17日の日程で実施した安芸・秋季キャンプの紅白戦でも快打を放ち、藤川新監督に猛アピール。最終クールに足の張りを訴え、大事を取って一部別メニュー調整に舵を切ったのも、全ては今オフ、体を徹底的に追い込むための準備に過ぎない。2年ぶりのV奪回を期す25年。背番号53が新生・猛虎で存在感を示す。(記者コラム・八木 勇磨)