フォーミュラEが初開催 EV普及へ東京都が誘致 2万人を前に日産が2位、ヤマハ発も25年参戦
電気自動車(EV)のフォーミュラワン(F1)とも呼ばれる「ABB FIA フォーミュラE世界選手権 東京E-Prix」が3月30日、東京・江東区の東京ビッグサイト周辺の公道などを利用して開催された。フォーミュラEの開催は日本初で、国内で公道を使った本格的なレースも初めて。オープニングセレモニーには岸田文雄首相も訪れ「環境に優しいモーターレースをしっかりと盛り上げていきたい」とあいさつした。 フォーミュラEは、世界各都市で開催されるEVレーシングカーのレースで、今シーズンは11都市16ラウンドで開催される。参戦するレーシングカーは電気モーターのみで駆動することからエンジン音がなく、走行中の二酸化炭素(CO₂)などの排出ガスもゼロ。このため、東京のような都市中心部でのレースが可能で、熱心なファンでなくても気軽に観戦に行ける。 今回、東京で開催することになったのは、CO₂を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」を掲げる東京都が、EVの普及に取り組んできたことが大きい。小池百合子知事が2022年9月、EV普及の起爆剤になることを狙ってフォーミュラEの東京開催を目指すことを表明し、交渉はトントン拍子に進んで今回の開催が決定した。 ただ、フォーミュラEは14年9月に1回目が開催されてから今シーズンが10年目で歴史も浅い。しかも、日本は新車販売に占めるEV販売比率が2%程度と低い。フォーミュラEを東京で開催しても来場者を集められない不安もあった。しかし、ふたを開ければ東京大会でのチケットは発売開始3分で完売し、追加販売のチケットも即完売するほどの人気ぶり。レース当日は2万人が来場し、「大成功」(主催者)となった。 ■パワートレインの「走る実験場」 今シーズンのフォーミュラEにはポルシェやジャガー、マヒンドラなど、11チーム22台が参戦している。日系自動車メーカーで参戦しているのは日産自動車だけで、18/19年シーズンから参戦している。日産の参戦は研究開発に注力しているEVの心臓部であるパワートレイン関連技術を「走る実験場」で試し、レースの現場で鍛えた技術を市販用EV開発にフィードバックするためだ。