巳年に沖縄のハブ革製品いかが 「怖いイメージ変えたい」 末広がりの八の模様が魅力
2025年は巳(み)年。ハブ革製品を扱う南風原町の「yu―i FACTORY」(ユーイファクトリー)の幸地賢尚(まさたか)さん(42)は、焼却処分される駆除ハブを県内6市町村から買い取り、革製品として生まれ変わらせている。 【動画】ハブを頭からのみ込むアカマタ ハブ皮の模様の美しさに魅せられ、県内で前例がなかったハブ皮加工を約4年かけて独自の方法で編み出した。21年には、ハブを含むヘビ革で国内初の「日本エコレザー基準」の認定を取得するなど、環境への配慮にも力を入れている。 ハブの模様が生息地域ごとに異なるのも魅力の一つ。沖縄本島のハブは、末広がりの「8(八)」の模様が縁起がいいと人気だ。 幸地さんは「毒を持っていて怖いというイメージを変え、ハブ皮の美しさを伝えたい」と語った。(社会部・末吉未空) ■駆除ハブに新たな価値 加工工程、独学で学ぶ ユーイファクトリーの幸地さん 南風原町新川に店を構えるユーイファクトリーの幸地賢尚(まさたか)さん(42)=那覇市=は、焼却処分される予定の駆除ハブを伊江村、伊平屋村、那覇市、中城村、南風原町、久米島町の6市町村から年間で計千匹買い取り、革製品として新たな価値を生んでいる。ハブを保管する冷凍庫や送料も自身で請け負い、仕入れから販売まで一貫して手がけている。 2008年にブランドを設立した当初から、駆除されたハブのみを使うと決め、現在は財布やかばんなど約200種類の商品が並ぶ。ハブの身を切り開いていく「さばき」や、生の皮から腐らない革に変える「なめし加工」など約15の工程を独学で学んだ。加工は植物由来の液剤「タンニン」を使用し、染色には琉球藍染めを用いるなど、環境に優しい。21年に取得した「日本エコレザー基準」は最高水準で認定を取得した。 幸地さんがハブ皮と出合ったのは、皮加工を学んだ東京の専門学校で課題の作品を作ろうとした時。沖縄らしい素材を探していると、ハブの模様の美しさに心を奪われた。 しかし、ハブ皮の製品化はそれまで県内で前例がないものだった。東京を中心に、皮の製造業者の「タンナー」に尋ねたが、誰も手の内を明かしてくれない。「ならば複数人に聞くしかない」と、各工程ごとに違うタンナーから手法を教わり、聞いた話をつなぎ合わせ、独自の方法を編み出した。 幸地さんがここまでハブに情熱を注ぐのは、猛毒を持つハブの「怖い」イメージを変えるため。「県民には、身の回りのやっかい者が、作品として形になったことに自信を持って使ってほしい。いつかは沖縄の伝統的な素材として位置付けられたら」と語った。 買い取り先の一つになっている久米島町環境保全課は「処分されるハブを活用し、より価値のあるものにしてもらって大変ありがたい」と話した。(社会部・末吉未空)