【甲子園】“昭和の怪物”江川卓氏が「まぼろしの球場」でこの上ない「青春の一球」
高校球児へメッセージ
甲子園球場とは──。そして、現役の高校球児へメッセージを送った。 「まぼろしの球場、まぼろしの場所なので。なかなか出られなかった。2回しか立っていませんから。(3年夏の)相手の銚子商は、素晴らしいチーム。負けましたけど、良い思い出としてある。1回戦で負けた学校も甲子園を目指している。3年間、続けるのは大変なことなんです。私もその後、野球を続けましたけど、つらさ、苦労はすべての通ずるものがある。野球ってミスのスポーツなんです。いろいろミスが出ると思います。人生ってミスだらけです。(それらを)受け止めて、これからの人生に生かしてほしいと思います」 江川氏は始球式が決まると、日本高野連を通じてコメントを出した。 持ち帰った甲子園の土を見て 春と夏だけに現れるまぼろしの 場所に立った若き記憶が よみがえります。 今回、チャンスをいただき あの夏と同じ青春の一球を。 私にとって50年の空白を 貫く一球です。 江川卓 「あの夏と同じ青春の一球を。私にとって50年の空白を貫く一球です」 今回の始球式で果たせたのかを聞くと、江川氏は答えた。 「これをどう、読んでいただいたか。伝え方はいろいろあるので……。皆さんが、どう書くかを楽しみにしています」 巨人時代、何度も阪神との伝統の一戦で聖地のマウンドに立った。プロ野球と高校野球の景色は、まったく異なるものだという。100年、球児があこがれ、誰もが愛する阪神甲子園球場の2万9000人の観衆の前で、腕を振った。この上ない「青春の一球」となった。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール