妊娠34~36週で「ちょっと早く生まれた赤ちゃん」、母乳を飲めず不安になる親 必要なケアは
妊娠34~36週で〝ちょっと早く生まれた赤ちゃん〟を「後期早産児」といいます。大きく育って2500g以上で生まれる赤ちゃんもいますが、医師は「正期産(妊娠37~41週)の赤ちゃんに比べると成長発達に様々なリスクがあるため、医療関係者がきちんとフォローアップしなければならない」と指摘します。これまで認識が十分ではなかった赤ちゃんやお母さんへのケアを考えます。(withnews編集部・河原夏季) 【画像】2500g未満で小さく生まれた赤ちゃんたち
34週2407gで出産「ごめんね、という気持ち」
「息子がNICU(新生児集中治療室)で点滴や口から胃へのチューブ(経管栄養)が入っていたのを見たとき、とても申し訳なくて、心の中で『ごめんね、ごめんね』と何度も謝っていました」 2019年に妊娠34週で2407gの長男(4)を出産した埼玉県の薬剤師の女性(41)は、そう振り返ります。 妊娠34~36週の「後期早産」にあたり、生まれた赤ちゃんは2500g未満で生まれる「低出生体重児」でした。 切迫早産で入院中に妊娠高血圧症候群になり、緊急帝王切開で出産。長男は3週間ほど入院したため、女性は搾乳をして母乳を病院へ届けました。 「生まれたら抱っこして、母乳をあげると思っていたのに、なんでひとりぼっちなんだろう……と寂しかったです」 出産直後は「小さく産んでしまった」とネガティブな思いでいっぱいだったといいます。 しかし今は、「当時の私の罪悪感をかき消してくれるほどたくましく成長しています。一緒にいられる幸せでいっぱいです」と話します。
36週3050gで出産「育児本通りではない」
後期早産でも正期産(妊娠37~41週)に近い週数であれば、大きく育って生まれることが多くあります。 東京都在住の女性(33)は、2017年に妊娠36週3050gで長男(6)を出産しました。 早産児だったのでGCU(新生児回復室)に連れて行かれ、「ずっと不安で夜もなかなか眠れなかった」と振り返ります。体重は十分あったものの哺乳力が弱くて母乳を飲めず、鼻からチューブで栄養を入れていたそうです。 退院後も、「『首座りが遅い』から始まり、全ての運動発達が目安通りにいきませんでした。育児本に書かれていることが月齢通りにできず不安を感じ、早く生まれた原因は私にあったのかも……と落ち込むこともありました」と振り返ります。 「でも、子どもはとてもかわいいですし、『ふつう』の子どもの発達ではなくていいという気持ちが芽生えてからは落ち込みませんでした」 成長はゆっくりでしたが、6歳になった今、長男は縄跳びや跳び箱を跳び、運動を楽しんでいるそうです。 「本当に生きていてくれるだけでありがたいです。思いやりのある心優しい人になってもらいたいなと思います」