文系DX人材育成の中核 山口大の学士、修士に新たな課程【宇部】
学士課程は「ひと・まち未来共創学環」、修士課程は「人間社会科学研究科」
山口大(谷澤幸生学長)は、来年度から新たな学士課程「ひと・まち未来共創学環」、修士課程「人間社会科学研究科」を設置する。地域社会の課題解決や新たな価値創出に貢献する人材の育成を目的としている。両課程の所在地は山口市の吉田キャンパスとなる。 学環は2019年度に設けられた学部等連係課程制度にのっとった学部相当の組織で、複数学部の科目を学ぶことができる。 ひと・まち未来共創学環では心理学、社会科学、データサイエンス・デジタル技術の3分野を学ぶ。教育学部、経済学部などのさまざまな分野の専門教員が集まり、分野横断、文理融合的な教育を実施。デジタル、AI(人工知能)技術を活用し、地域課題の発見や解決の実践的な学修を行う。 同大は県立大、山口学芸大と連携して、人や地域のウェルビーイング(一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさ)に貢献する文系DX(デジタルトランスフォーメーション)人材を育成するスパーク教育プログラムに取り組んでおり、同学環がその中核を担う。 同大によると、国立大の学環設置は5例目。学部を設置すると専任の教員が必要となるが、学環は既存の学部などからの教育リソースを総合して教育ができるため、柔軟に教育体系をつくることができる利点があるという。 大学院の人間社会科学研究科は人文・社会科学系の修士課程の教育体制を再編して設置する。人文科学研究科、教育学研究科学校臨床心理学専攻、経済学研究科を発展的に改組。人文科学、臨床心理学、経済学・経営学、共創科学の4専攻から成る。 人間性に対する深い洞察力と、現代社会に対する的確な分析力を兼ね備えた人間社会科学の研究を基礎とした知識、技術を身に付けた人材を養成する。 17日に同キャンパスで開かれた会見で、谷澤学長は「学環には、新しい課題にチャレンジしたい若者に入ってほしい。研究科にも横断的に学び、社会にある課題をより高度な能力で解決したいと考える学生に来てもらえたら」と語った。