〝外車〟全盛期に駆け抜けた父内国産の希望の星・エアジハードが魅せた爆発力/1999年マイルCS
【記者が振り返る懐かしのベストレース】1999年当時はサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンといった輸入種牡馬が幅を利かし、グラスワンダー、エルコンドルパサーといった競馬史に残る外国産馬が大活躍していた時代。特にスピードが要求されるスプリント~マイル戦線では外国産馬の独壇場で、父内国産の血統はまだまだ“非主流”だった。当時、大学生だった記者も外国産馬に心酔していた。 【表】名馬が上位に名を連ねた1999年マイルCS結果 そんな状況の中、父内国産の希望の星となったのがエアジハードだ。 父はサクラユタカオー。サクラバクシンオーに代表されるスピードタイプとウメノファイバーのような切れ味タイプの2パターンの産駒を輩出した同馬だが、このエアジハードは後者。グラスワンダーとの叩き合いをハナ差制した安田記念もすごかったが、より強さを感じたのは秋のマイルCSの方だ。 前哨戦のスワンSを制していたブラックホークとの一騎打ちかと思った記者の想像を超えた瞬発力…。直線での2頭の爆発力の差は歴然で、時計も1分32秒8と当時のレースレコードを堂々マーク。スマートな栗毛馬が筋骨隆々の外国産馬を蹴散らす姿は、外国産馬至上主義から内国産馬のフォロワーへと180度記者のスタンスを変えるきっかけになった。 期待された香港遠征は屈腱炎を発症してジ・エンド(出走取消)。世界に父内国産馬の底力をアピールできなかったのは悔やまれる。(2010年11月17日付東京スポーツ掲載)
東スポ競馬編集部