治療中「そばにいるよ」に救われた AYA世代のがん啓発
患者数が少なく、周りに悩みを共有しづらいAYA世代(15~39歳の思春期と若年の成人)のがん。世間に認知や理解を広げようと、がん研有明病院(東京都江東区)が先月、都内で啓発イベントを催した。 国内では年間約100万人が新たにがんを発症するが、このうちAYA世代は約2%の約2万人と推計される。他の世代と比べ、情報提供や支援の体制が十分に行き届いていないという。 イベントの一つ「AYAがん経験者によるトークセッション」には、AYA世代でがん闘病を経験した、Jリーグ・大宮アルディージャのアンバサダー、塚本泰史さんと、看護師でフォトグラファーの関口陽子さんが参加。塚本さんは選手3年目の24歳、関口さんは看護学校を卒業する21歳で告知を受け「ショックで何も考えられない状態だった」などと明かした。 治療中、周囲の励ましが力になったという塚本さんは、「一つ一つの言葉に励まされたが、特に『頑張れ』という言葉が一番効いた」と当時を振り返り、涙ぐんだ。一方、関口さんは「自分的にはずっと頑張っているのに『頑張って』と言われるとつらかった。『一緒に頑張ろう』『そばにいるよ』という言葉には本当に救われた」と述懐した。 このイベントには同病院の小野麻紀子医師も登壇。「AYA世代の残りの人生は長い。2人のようにがんの治療を経て輝いている人がいることを知ってもらい、がんのイメージを変えていきたい」と語った。