投資の神様「ウォーレン・バフェット」の功罪。他の投資家と何が違ったのか【プロの投資家が解説】
スイス・キャピタル・インターナショナルのアナリスト兼ファンドアドバイザーとして株を買い付け、キャリアの礎を築いた伝説の投資家・澤上篤人氏。バブル崩壊時、中小型株を買い付け、投資家としての才を発揮した渡部清二氏。現役で活躍する両者の、金融に関する本音を対談形式で紹介します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
多くの投資家が直面する、「市場内外」の温度差
渡部 私、金融が虚業だと思ったことが2回あるんですよ。 澤上 俺、ずっと思っている。金融は虚業もいいところ。俺は、もともと事業家の息子なんでね。だから自分は業態としては金融をやっているけれども、限りなく事業家的にやっているんよ。「さわかみグループ」(澤上氏が代表取締役を務める企業グループ)全体が事業家集団だよ。 渡部 私も、本当は虚業だと思っているんですよ。本音は虚業だとずっと思っていて、自分も金融の世界にいたから、余計に思っていて。ただ、その気づきのきっかけが実は2回あります。
金融の混乱期こそ「儲けるチャンス」
1回目が2003年、当時みずほ銀行(当時みずほホールディングス、現みずほフィナンシャルグループ)が潰れると噂されていたんですね。そのために1兆円増資をすることになり、三菱銀行(当時三菱東京フィナンシャル・グループ、現三菱UFJフィナンシャル・グループ)が公募増資に走ったんです。それは野村證券が主幹事で、一本(野村だけで行うこと)だったんです。 その時、当時の三菱銀行の頭取が野村證券のディーリングルームに来て、「この公募が成功しないと日本は潰れる」とおっしゃった。我々はみんな「これはやらないといけない。大変なことだ」と思いました。 ところが、仕事を終えて会社の外に出たら、普通の人たちは何も騒いでいないわけです。「あれ? 何も大事件は起こっていない。普通の生活が外にある」と感じたんです。それが1回目。 2回目はやはり、リーマン・ショックです。この時も「世の中はひっくり返るぞ」なんて野村内では言われたし、確か、1年間で時価総額が3,000兆円ぐらい吹き飛んだという話だったんですが、また野村から外に出ると、至って普通の生活が行われていて、誰も騒いでいない。「あれ? 何、これ?」って思っちゃったんですね。それ以来、金融は虚業だと思っていまして。 澤上 そうなんよ。どんなに株の世界で大暴落が起こっても、株式市場の外の人々には、それとは関係なく、毎日の生活がある。俺はそのあたり頭の整理ができているから、リーマンの時も、金融の人たちは大騒ぎしているけれども、「下がっている。しめ、しめ」と買いまくったわけ。 2008年9月からじゃなくて、10月、11月からひどく下がってきたの。あそこでめちゃめちゃ拾ったよ。「ありがたい。こんなに安く買える」とか言ってね。あとはほったらかしで。するともう、翌年の2月、3月には、30%も上がっているわけよ。「やったぜ。長期投資って楽なもんだな」と。 渡部 ははは。
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