花蓮地震めぐる中国との世論戦は「台湾に軍配」ウォッチャーが解説
台湾東部・花蓮県の近海を震源地としたマグニチュード7.7の大地震は発生から1週間が過ぎた。台湾政府の発表によると、4月11日時点で死者は16人、けが人は1,100人。行方不明者が3人いる。東アジア情勢に詳しい、飯田和郎・元RKB解説委員長は11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、「地震をめぐる世論戦」という側面でコメントした。 【写真を見る】花蓮地震めぐる中国との世論戦は「台湾に軍配」ウォッチャーが解説 ■国際社会の世論を「味方に付ける」戦い 台湾東部・花蓮県の近海を震源地とした大地震は4月10日で発生から1週間が過ぎた。ただ、復興は長い時間を要することになりそうだ。台湾や中国を長年、ウォッチしてきた者の悪い癖かもしれないが、少し違った角度から、この地震災害を分析してみたい。 それは「世論戦」とでも言おうか。つまり、台湾の立場からすると、地震という悲惨な出来事に、どう立ち向かうか。それを、国際社会に「知ってもらう」、国際世論を台湾に向ける戦い。国際社会の世論を「味方に付ける」戦いと言ってもよい。 ■台湾の被災者への同情を寄せる「二つの近さ」 今回の地震に関する報道を、日本から見ていると、私は改めて日本と台湾の「近さ」。それも「二つの近さ」を感じる。 一つは距離的な近さだ。もともと日本の新聞社や通信社、放送局は台湾に特派員を置いている。それに加え、日本からも地震発生直後から取材陣が震源地の花蓮県に入っている。日本を含めた海外から台湾へ取材に入る場合、本来は取材ビザが必要だが、今回は多くがノービザだろう。厳密には、ルールを逸脱しているが、台湾当局も、それはわかっていて見逃しているのだろう。むしろ、取材してほしい、という思いもあるはずだ。 もう一つは、社会のシステムや価値観の「近さ」だ。日本と台湾は社会システムが似ている。日本のメディアも、ほかの外国での取材に比べ、難易度が高くない。なにより、余震が頻発するという危険な状況のなか、やってきた海外の取材クルーに、当局はさまざまな便宜を図ってくれている。日本への親近感が強い台湾の住民たちが取材に協力してくれているようだ。