ドライバーがターゲット 東海地方で7月開始・新放送サービスi-dioとは
デジタル放送の電波を利用して映像や音声、データなどを無料提供する新放送サービス「i-dio(アイディオ)」が7月1日正午から、愛知県や岐阜県、三重県の一部で始まった。スマートフォンやカーナビゲーションシステムに専用チューナーを取り付けると、高音質の音楽や動画、文字情報を視聴できる。 放送業務を行う中日本マルチメディア放送(愛知県名古屋市)などは、2万人を対象にチューナーの無料モニター受付を同日から始めると発表。同サービスの普及促進を図る。
運転者向け放送や地域チャンネル展開 静岡や北陸に放送エリア拡大へ
アイディオは、2016年3月から福岡と東京近郊、大阪で放送を開始しており、東海は4番目。 東海・北陸ブロックの放送内容は、車の運転者をターゲットに、衛星利用測位システム(GPS)を活用して、走行中の地域に適した道路情報や気象情報などを配信するチャンネルや、高音質音楽チャンネルなど全国向けチャンネル6つと、ジャパンエフエムネットワーク(JFN)に加盟する東海北陸のFM放送局7社の独自番組を放送するローカルチャンネル1つの、計7チャンネルある。 電波は、地上アナログテレビ放送終了後に空いたVHF-Low帯(99~108MHz)を利用して、三重県桑名市多度町の多度山送信所から東海3県の一部にデジタル波を送信する。 アンテナから発せられる電波の強さ(空中線電力)は10キロワットで、375万世帯をカバーする。今後は静岡県や北陸地方でも受信できるように整備を進める。 全国展開は2019年度までを目指す。演奏所(いわゆる番組制作の場)は愛知県名古屋市中区のエフエム愛知に置く。
radikoとの違いは 遅延抑えた一斉同報 ハイレゾ級高音質にも対応へ
アイディオの利点は、デジタルの放送電波を使うことで、インターネット通信のようにアクセス集中して混雑することがなく、一斉同報ができること。 インターネットを通じてラジオ番組を配信する「radiko(ラジコ)」と比べても遅延を抑え、地上波デジタル放送としては最高音質(サンプリングレート48kHz、ビットレート320kbps、MPEG-AAC)での放送を実現。 2017年にはハイレゾ級(HDS96kHz)の音質にも対応する。 6月29日に記者会見した中日本マルチメディア放送の本多立太郎社長は「ラジオのデジタル放送は長年研究されてきた。着地点を迎えてスタートする」と意気込みを示した。