１０月２７日投開票の衆院選。 選挙区ごとに候補者の動きをお伝えしています。 １０月２２日は、鹿児島市南部と南薩、奄美群島が選挙区の鹿児島２区です。 届け出順に参政党・新人の矢竹ゆかりさん、共産党・新人の松崎真琴さん、無所属・前職の三反園訓さん、日本維新の会・新人の辻健太郎さん、自民党・前職の保岡宏武さんの５人が立候補しています。 現在の区割りになってから最多の５人による争いは、保守分裂で波乱含みの混戦となっています。 過去最多、５人で争われる鹿児島２区。 その前哨戦は公示前、自民党県連の中で起きていた。 党の公認を２区支部長の保岡さんに出すか、前回の衆院選で自民党の公認候補を破った前知事の三反園さんに出すか。 県議の意見は割れた。 最終的に党の公認は保岡さんに出たものの、保守分裂を示す決定的な出来事となった。 無所属・前１　三反園訓候補 「目と目で会話できている」 当事者のひとり、三反園訓さん。 今回も無所属での出馬となったが、この３年間は時間が許す限り、つじ立ちで有権者に手を振り、鹿児島市もこまめに回って地道な活動を続けてきた。 ３年間で７０回以上訪問したという奄美大島は、「第２のふるさと」と強調する。 さらに個人演説会の中ではこんな発言も。 無所属・前１　三反園訓候補 「今回は比例区は公明党へでお願いできればと思う」 「選挙協力できる関係性が構築されていない」として今回、２区では誰にも推薦を出していない公明党県本部。 そこで、三反園さんは公示後、一部地域で自主的に「比例区は公明党へ」と呼びかけ、水面下での連携を図っている。 無所属・前１　三反園訓候補 「私は世襲議員ではない。ただき上げで一からやっている。色々な方々の思いが分かる。そういう人も必要ではないか」「国民の生活を少しでも良くしようとしてきたことを訴え、努力するのみ」 一方、自民党公認候補として出馬したのは前回、比例九州で当選を果たした保岡宏武さんだ。 自民・前１　保岡宏武候補 「５年１０年で変わるような政治を作るのか、未来の可能性を２０年の時間幅で物事を考えられる政治を選択するのか、これが問われているのが２区の選挙」 かつては父親の興治さんの後を継ぎ、鹿児島１区から出馬した保岡さん。 ２区に戦いの場を移した今回は、農政連や建設業など友好団体の推薦を受けて組織戦を展開する。 鹿児島市を訪れた石破総裁も… 自民党　石破総裁 「日本にとって、自民党にとって、次の時代にとって、必要な人は保岡宏武」 奄美にもゆかりがある保岡さん。 ２１日は奄美入りし、支援者らの前で気勢を上げた。 農林水産業の所得増大や国道の渋滞解消など、「将来を見越して考えられるのは自分だけ」と若さをアピールする。 自民・前１　保岡宏武候補 「自分自身足りないところはたくさんある。多くの方の力を借りながら、選挙区の議席奪還、地元の代議士としてさらに声を上げていく。２期目に挑戦する」 そんな２人の保守分裂の戦いを軸に、ほかの３人の候補もそれぞれの戦いを繰り広げている。 維新・新　辻健太郎候補 「私の目から見て本当の未来は鹿児島から始まる」 日本維新の会の辻健太郎さん。 経営コンサルタント会社の代表で、国政選挙は２回目の挑戦だ。 公示後は、従来の選挙活動とは一線を画すインターネットを駆使した選挙戦を展開している。 選挙区内の各地で撮影した活動の様子をユーチューブに広告としてアップ。 広告は２区の選挙区内に一定時間滞在する人にしか見られないしくみで、選挙区の有権者だけに動画を通して、自らの考え方を届ける。 そんな新しい発想で「鹿児島から日本の未来を変えたい」と意気込んでいる。 維新・新　辻健太郎候補 「今までの政治が変わらない日本をつくったと認識している。この人だったら何かをやってくれる、期待してもいいかもしれないと感じてもらえるよう全力で頑張りたい」 共産・新　松崎真琴候補 「裏金事件や旧統一教会との癒着問題の追及を逃れるために党利党略で解散した。こんな政権に私たちの暮らしや子供たちの未来を任せるわけにはいかない」 共産党新人の松崎真琴さん。 元県議会議員で共産党県委員会の書記長を務め、国政選挙は３回目の挑戦だ。 南西諸島の防衛強化の一環で自衛隊の増強が進む奄美大島で、「このままでは鹿児島が軍事基地化する」と訴えた。 比例九州ブロックの重複候補でもある松崎さん。 選挙区の２区だけでなく、県議時代の地盤だった１区や、出身地の熊本県にも足を伸ばして支持を呼びかけている。 共産・新　松崎真琴候補 「私以外の４人は保守。軍事費を増やして強めていく立場。これでは県民の暮らしや平和は守れない。しっかりと政策の中身を訴えて、暮らし、平和を守る立場で頑張る」 参政党・新人の矢竹ゆかりさん。 公示翌日には南薩地区をまわり、掲示板に選挙ポスターを貼りながら、道行く車に支持を訴えるなど、手弁当の選挙戦を展開する。 大分在住の矢竹さんは当初、大分３区からの出馬を予定していたが、党の方針で選挙区を変更。 これが初めての国政選挙挑戦だ。 矢竹さんがアピールするのは、「既存の政党では日本は変わらない」と政治をあきらめた有権者の新たな受け皿となることだ。 参政・新　矢竹ゆかり候補 「地盤、看板、カバンの政治家ではなく、まして世襲でもない。普通の主婦だが、国民の『疲弊する日本をどうにかしてほしい』という声が聞こえる。分かってくれる県民がたくさんいると信じて戦う」 保守分裂の２人の戦いを軸に、さらに３人の野党候補者がしのぎを削る鹿児島２区。 過去最多の５人による選挙戦を誰が制するのか、目が離せない。