沈没した海自掃海艇「うくしま」、不明の隊員は艦内で発見されず…船体の引き揚げに向けて準備
福岡県・大島沖を航行中の海上自衛隊の掃海艇「うくしま」が火災で沈没した事故で、斎藤聡(あきら)・海上幕僚長は12日、行方不明となった乗組員の男性隊員(33)について、潜水士による艦内の捜索では発見されなかったことを明らかにした。海自は艦艇や航空機を投入し、周辺の海域と沿岸部で捜索を続ける。 【写真】炎上する海上自衛隊の掃海艇「うくしま」(10日午後8時40分頃)
海自によると、うくしまは大島の北方約2・3キロ沖で10日午前に火災を起こし、11日午前、海中に沈んだ。機械室のエンジンから火が出て、燃料に引火して延焼したとみられる。行方不明の隊員は当時、機械室で当直勤務をしていた。
海上保安庁の潜水士は11、12日に計6回、艦内に入って機械室を中心に捜索。通路なども確認したが、隊員の発見には至らなかった。
海自は今後、水中無人機を投入することを検討している。海上では艦艇12隻が派遣されたほか、ヘリコプターも上空から捜索している。
現場海域には、うくしまから流出したとみられる外板の一部や装備が浮遊しており、海自は陸上自衛隊と連携して沿岸部も捜索する。
斎藤氏は記者会見で「(うくしまには)通常の弾薬は搭載している状況だったと思う」と語り、水中の捜索は安全を確保しながら進めていくと強調した。米軍から支援の申し出があったことや、うくしまの引き揚げに向けて準備を進めていることも明らかにした。
事故を受けて海自は、うくしまが16~26日に参加する予定だった宮崎県・日向灘での機雷掃海などの訓練を中止。保有する全艦艇を対象に、エンジンルームや配管などの調査も実施している。