永井大「家族からヒール役のほうが似合うと言われた」、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」でマルフォイを演じる想い
2022年7月8日に開幕し、現時点での総観客数が92万人を突破したロングラン上映中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」。 【写真】パートナーは「あなたはヒール役のほうが似合うよ」と言ってくれました(笑) 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングさんが舞台のために書き下ろした「ハリー・ポッター」シリーズ8作目となる物語。小説の最終巻から19年後、父親になったハリー・ポッターとその息子・アルバスの関係をもとに描かれたストーリーには、お馴染みのハーマイオニー・グレンジャー、ロン・ウィーズリー、ドラコ・マルフォイとその子どもたちの冒険が描かれてる。 この舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」が、2024年7月以降の公演延長が決定し、追加される新キャストが発表。今回は新キャストから、家族を大切にし、出生にまつわる噂が絶えない息子のスコーピウスを全力で守ろうとする良き父親であるドラコ・マルフォイを演じることとなった永井大さんに、舞台や役に懸ける想い、自身の家族像などについて話を聞いた。 ーードラコ・マルフォイという、ハリー・ポッターのライバルであり、ときにヒールな役回りになるドラコ・マルフォイが決まったときの感想を教えてください。永井さん自身と「ハリー・ポッター」との距離感といったところも教えてください。 【永井大】オーディションを受けるというのが久しぶりだったのですが、オーディション中に海外のチームの方とも通訳を通してコミュニケーションをとりながら行い、その場で自分のなかでもすごく手応えがあったんです。オーディション後に事務所に戻ったときに「どうだった?」と聞かれたときにも「受かってると思う」と言ったほどでした(笑)。自信はあったものの、やはり決まったときはとてもうれしかったですね。 【永井大】ドラコは、一見悪役ではありますが、芯からの悪役ではないというか。そういう彼のキャラクター性を出すというところと、さまざまな確執から出る戦いみたいなところを見せるようになることに、とてもやりがいを感じています。 【永井大】僕と「ハリー・ポッター」といえば、もちろん映画「ハリー・ポッター」シリーズを観ていましたが、子どもたちがすこし大きくなってから、一緒に観るようになったことでより距離感が近くなっていたと思います。なので、必然的にここ数年は「ハリー・ポッター」に対して縁を感じていたので、今回決定したときは僕もうれしかったですが、それ以上に子どもたちもすごく喜んでくれました。 ーーお子さんの話も出ましたが、19年後を描いている今回の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」では、ハリー・ポッターにも、ドラコ・マルフォイにも子どもたちがいて、その子どものストーリーを追うことになっています。プライベートでは、中越典子さんとの間におふたりの子どもがいらっしゃいますが、ハリー・ポッターとドラコ・マルフォイ、どちらの親子関係、教育方針により共感できますか?また、それはどんなところですか? 【永井大】それでいうと、ドラコ・マルフォイの親子関係に共感できるかもしれません。彼らの親子関係は、僕と、僕の父と似ているなと感じています。僕の父は空手の師範でもあり僕にとって大きすぎる存在なので、実はいまでも二人きりになると緊張してしまうんです。“礼”を重んじるというところでしつけられてきたこともあり、もしかしたら僕自身が必要以上に父に対して畏怖の念みたいなものを感じているからだと思います。そんな父子関係ではありますが、同時に、僕にとって父は永遠の憧れで、いまでも追い続けている背中なんです。 【永井大】また、僕自身の子育ての方針としても、父から教えてもらったこと、そして僕が経験をしてきたことを踏まえた教育をしていて、僕は子どもたちに対して、父ですが、仲間であり、ライバルのような関係性もあると感じています。なので、子どもたちは僕を尊敬してくれると同時に、いつか超えたい壁とも思っていると思います。 【永井大】ドラコ・マルフォイでいうと、プライドが高く、常に強くあるように、いつも高貴に振る舞う彼ですが、こと息子のことになると人間らしさが感じられるのも魅力だと思っています。息子が行方不明になってしまいあたふたしているシーンなどは、小心者な一面も垣間見えて…そこも僕に似ているなあと思います。 ーーでは、そんなお子さんを含めたご家族ですが、パートナーもしくは、お父さんがドラコ・マルフォイという、「ハリー・ポッター」シリーズの主人公と犬猿の仲で、シリーズのなかではときにハリー・ポッターへ嫌がらせをしたり、それ以上のことも…というキャラクターであるドラコ・マルフォイという役を演じることになったときのご家族の反応はいかがでしたか? 【永井大】僕はもともとスーパー戦隊シリーズ「未来戦隊タイムレンジャー」でのヒーロー役がキャリアのスタートになっていて、今回はヒール役を演じることになって。ヒーローもいればヒールもいる、というところもありますが、妻は「あなたはヒール役のほうが似合うよ」と言ってくれました。 【永井大】子どもたちは、役を見る、というよりも「ハリー・ポッター」というひとつの作品でみているからか、あの「ハリー・ポッター」にお父さんが出るんだ!ととても喜んでくれました。テレビで、「ハリー・ポッター」にまつわ、たとえば、「ハリーポッター スタジオツアー東京」などが映っていると、「お父さんのだ!行きたい!」と言ってくれたり。6歳から観劇もできるので、僕のドラコ・マルフォイを家族にも観てもらいたいですね。 ーー最後の質問になるのですが、舞台というエンターテインメントをまだ観たことのない、体験したことのない読者に向けて、永井さん自身が思う、舞台の魅力をお伺いしたいです。 【永井大】やはり、“なまもの”であることが一番だと思います。テレビや映画と違って、舞台はリアルタイムで目の前で芝居を見て感じることができます。生であるからこそ、毎日同じことはないです。もちろんアクシデントもあるでしょうし、セリフや動きひとつとってもすべてがスペシャル。それも含めて楽しむことができると思います。 【永井大】僕も若いころは、舞台へのハードルは高く、馴染みのないものだったのでとても理解できるのですが、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです!生々しさを実際に感じてもらい、劇場の空気を感じていただけたら、想像以上の感動と楽しい体験ができることを約束します。 【永井大】また、舞台を観終わったあとに、一緒に観たメンバーで行くご飯、お酒、それらを含めて本当に楽しい、何年経ってもきっと忘れられない、唯一無二の時間になると思うので、ぜひ一度体験していただきたいですね。 ーーありがとうございました。では最後に、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」で永井さんのドラコ・マルフォイを楽しみにしているファンへ一言お願いします! 【永井大】今年で3年目になる「ハリー・ポッター」で、いままでいろいろな方がドラコ・マルフォイを演じられてきました。今回新たなキャストとなり、自分がドラコ・マルフォイを演じることとなりましたが、僕は舞台においては声が本当に大事な要素のひとつだと思っているので、僕の演じるドラコ・マルフォイでは特に声を楽しみにしていただければと思います。あとは、立ち姿。姿勢にも僕なりのドラコ・マルフォイ像を投影したいと思っておりますので、そこもぜひお楽しみにお待ちいただければと思います。 取材・文=大原絵理香、写真=宮川朋久