カンニングは“ひきょう者”か? 高2男子生徒自死で遺族が提訴、学校側に聞いた「指導内容」
高校側「叱責ではなく聴取」一部報道を否定
本稿記者が男子生徒の件について清風高校に取材を申し込んだところ、快く引き受けてくれた。 まず、学校側がカンニング行為について「ひきょう者」と日常から指導していたのかどうか聞いた。すると学校側は「日常的かといわれれば、それは当てはまらないだろう。毎回というわけでないが、2~3回ほど皆に注意はしていた。今回(21年12月)の場合は期末試験が始まる初日に、『カンニングするのはあかんで』と。カンニングをするのはひきょう者だと注意を促した」と説明した。 続いて、男子生徒への対応について聞いた。学校側は「カンニング発覚後、『別室で先生方が叱責した』と書いているマスコミがいたが、叱責はしていない。カンニングをやったかどうかの“事実確認”と、どのような経緯でカンニングをしたのかを聴取した。先生方が寄って集(たか)って4~5人で叱責したことはない」と回答。そのうえで「男子生徒はカンニング判明後に落ち込んでいる。カンニングした事実は事実なのだから、カンニングしたことは反省をして、事情を聞きつつその先に向かって前向きに取り組んでいこうと話をした」とあくまでも叱責ではなく聴取だったと回答した。 聴取したときの状況については、「男子生徒1人に対して教員1~2人で対応していた。その後にお母さんにも来てもらったが、お母さんを交えて話をしたときは別の部屋で説明し、学年部長や生活指導部長、学年主任、担任、副担任の5人が対応した」といい、今後の対応は「まだ訴状が届いていないため、訴状が届き次第対応する」とコメントした。
社会でも起きるカンニング…調査では「4割がカンニング」も
カンニングは絶対にやってはいけない。真面目に勉強してカンニングをせず、テストを受けたり受験に挑んだりしている人もいる。カンニングしてしまったのであれば、それなりのペナルティーを受ける必要はあるだろう。学校側が試験前に「ひきょう者」と注意を促したのは、公平・公正に試験を受けてほしいと思いからかもしれないと感じた。 社会人でもカンニングはやってはならない。22年11月、陸上自衛隊明野駐屯地(三重県伊勢市)所属の50代男性隊員が、理解度を測るための筆記試験でカンニングを行ったとして、減給30分の1と1か月の減給処分を受けた。さらに22年4月には、福岡県の警察署に勤務する30代男性巡査長が、昇任試験におけるカンニング行為で 本部長訓戒処分を受けている。 カンニングに関する調査もある。WEBマーケティング支援などを行うSheepDogの「カンニングに関するアンケート」(2023年1月実施)によると、300人を対象とした全国の15~19歳の学生のうち、「しようと思った」「過去1~2回したことがある」「よくしている(過去にしていた)」と回答したのは計41%で、約4割が何らかのカンニング行為をやった、またはやろうとしたことがうかがえた。 今後の裁判ではどのような判断が下されるのだろうか。判決の行方に注目したい。
小林 英介