水陸両用まるでボンドカーの「770」が約950万円で落札! ボートとクルマを別々に買うよりリーズナブルな「アンフィカー」とは
リーズナブルな(?)約950万円で落札
このほどRMサザビーズ「ARIZONA 2024」オークションに出品されたアンフィカー770は、発売当時4色が設定されていたファクトリーカラーのうちのひとつ、「ラグーンブルー」で美しく仕上げられており、外装のレストアから約15年が経過した現在でも、ボディワークは非常にしっかりとしたコンディションを保っている。 ボディパネル、特にフロアの錆びや腐食に悩まされ、多くの個体が失われてしまったとされるアンフィカーとしては、これはとても重要視されるべきポイントであろう。 最近では、8年来にわたりこのクルマを所有してきた熱心な現オーナーによって、オンタリオ州南西部の海域でデモンストレーション走行が行われ、「オンショア」でも「オフショア」でも良好なパフォーマンスを発揮したばかりとのことである。 また、ここ数年の間にクロームの一部が再メッキされたほか、タイヤ2本、ブレーキとブレーキライン、ベアリング、排水ビルジポンプ(1つは自動式、もう1つは手動式)、スターターモーターと燃料ポンプも新品に交換。その際の請求書も、今回の出品で添付されるファイルに残っている。 くわえて、アンフィカー用の部品はカリフォルニア州の「ゴードン・インポート」社から今でも簡単に入手できるそうだが、この個体にはオリジナルのマニュアルにパーツブック、広告、ツールキット、オール2本、アンカー、消火器が付属しているとの由である。 このオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社は現オーナーとの協議のうえ、7万ドル~9万ドルのエスティメートを設定。その上で「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。 この「リザーヴなし」という出品スタイルは金額を問わず確実に落札されることから、特に人気モデルではオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうというリスクも二律背反的に持ち合わせる。 そして迎えた競売では、エスティメート下限を少し割り込む6万4400ドル、日本円にして約950万円で落札されることになった。 超レア車ゆえに、国際マーケットにおける販売事例も少ないアンフィカーながら、数年前には10万ドル前後での取引もいくつか行われていた。そのため今回のオークション結果は落札者にとってはリーズナブル。そして出品者にとっては、いささか不本意なものだったと考えられる。
武田公実