マイケル・キートン『ビートルジュース』続編が良すぎてビックリ バートン監督に伝えた条件
そのアドバイスの裏側には、大ヒット作の続編に対する、キートンならではの考えがあるようだ。「少し変わった答えと思われるかもしれませんが、オリジナルと比較して、あまり大きく変えてはいけないように思います。すでにある独自の世界観を守るのは大事だと思うんです。だから、もしティムが『続編を作りたい。でも、見た目は前とは違うものにしたい』と言ったら、みんな『いや、そんなに違うものにはしないでほしい』と言うと思います。『オリジナルと同じようにしてほしい』とね。だから今作の場合は、同じ世界観でありながらも、同時にどこか違う作品になったと思うんです。具体的にどこがどのように違うのか、表現できないようなものにね」 キートンが言う通り、前作のノリを維持しつつも、前作のヒロイン、リディア(ウィノナ)と反抗期の一人娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)の母娘をめぐる、エモーショナルなドラマが心を打つ本作。その出来にキートンも「本当にすごくエモーショナルな作品になったと思っています」と絶賛する。
「それは僕も驚いたところです。役者として映画の世界観の中で制作をしている最中は、目の前の部分的なところだけで全体像は見えていません。映画の撮影が終わった後で『ほぼ完成したけど観たいですか?』と聞かれ『もちろん観たいです』と言った時も、どんな作品になっているのか、心の準備がまるでできていませんでした。まさか、こんなにエモーショナルな作品になっているとは思ってもみなかったのです。とにかく上映時間中クレイジーなことが起き続けるだけの作品ではなかった。登場人物たちがとても大事な存在に思えたのです。こういうタイプの映画って、そうしたことがまるで気にされていないこともありますからね」
「それからビジュアルの面も非常に美しかった。ティムの映画は常に彼の莫大なイマジネーションが表現されていますが、この作品もそうだった。本当に、なんて美しい映画なんだと思ったのです」
ちなみに、ビートルジュースを演じた翌年、キートンはバートン監督と再タッグを組んだ『バットマン』(1989)でさらに大ブレイクし、続編『バットマン リターンズ』(1992)にも出演した。昨年公開されたDC映画『ザ・フラッシュ』では、バットマン/ブルース・ウェイン役への復帰も話題を呼んだキートンだが、本作の撮影中、バートン監督とその話はしなかったという。「そう言われてみれば、ティムにそのことは聞いていませんでした。それって確かに変ですよね。思ってもみませんでした。それは彼に聞かないといけないなあ(笑)」(編集部・入倉功一)