USW会長、日鉄の買収反対を組合員に強調-ハリス氏支持も訴え
(ブルームバーグ): 11月5日の米大統領選を前に全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール国際会長は、日本製鉄によるUSスチール買収に組合指導部が反対する理由を組合員に伝える最後の取り組みを進めている。一般の組合員の間には同会長の姿勢に公然と異議を唱える動きもある。
電話インタビューでマッコール氏は、141億ドル(現在のレートで2兆1400億円)規模の今回の買収案に関する自身の懸念を伝えるため、ここ数週間に多くの組合員と会ったとし、今後13日間もこうしたメッセージを組合員に強く訴えていくと表明した。
日鉄が今後何年も組合員の雇用を維持する明確な保証はないとし、約束された投資が全て実現するとは限らないと主張している。
激戦州の一つであるペンシルベニア州に本部を置き、大統領選で民主党候補のハリス副大統領を支持するUSWは、同州で影響力があるとされる。マッコール氏にとって買収反対は、会長就任後1年1カ月の大半の期間で最重要課題となってきた。最後まで組合員の説得に努める姿勢は、この問題がいかに争点となっているかを物語る。
ペンシルベニア州の一部鉄鋼労働者の間では、買収計画を支持する声が強まっている。昨年12月に買収案が発表されて以来、マッコール氏や労組指導部は買収に一貫して反対してきたが、ある組合員グループは最近、FOXニュースの番組で買収支持を表明した。
同氏はインタビューで「私は彼らとオフィスで会い、何が問題かを伝えた」とし、「私は向こう13日間に多くの組合員と会う」と語った。
買収計画は、対米外国投資委員会(CFIUS)が審査延長を認め、判断が選挙後に持ち越されることになってから1カ月余りにわたって停滞が続いている。
共和党候補のトランプ前大統領はホワイトハウスに返り咲いた場合に買収計画を阻止すると公約。一方、ハリス氏はそこまで踏み込んでいないが、USスチールは国内で所有されるべきだと述べている。