蓮佛美沙子インタビュー 映画『女優は泣かない』主演女優が語る、演じる役への責任と覚悟
体を借りてよかったと言ってもらえるように
──劇中、何度も「プロ」という言葉が出てきます。蓮佛さんは「プロ」ってどういう人のことを言うと思いますか。 正直、私は自分のことをプロだと思ったことはなくて。だからまだ私もよくわからないんですけど、一つだけ言えることは、覚悟のある人はみんなプロなんだろうなと思います。もちろん他の人よりも秀でた技術とか知識とか、そういうテクニック的なこともあると思うけど、メンタル的なことで言えば、やっぱり覚悟。 言い訳をせず、自分から逃げず、責任を持って目の前のことに取り組む覚悟がある人は、それがうまくいっていてもいってなくても、プロと言っていいんじゃないかなって思います。 ──ご自身も、仕事に臨むときはやはり覚悟というものを意識しますか。 さっきお話しした、今まで演じてきた役の魂はあると思ってるという話の延長で言うと、私はいつも新しい役に挑むときに、(演じる)この子に嫌われたくないと思っちゃうんですよね。この子の顔に泥は塗れないし、私はそんなんじゃないんだからねと言われたくない。それが、私の覚悟なんだと思います。 ──なるほど。役からすれば、蓮佛さんの体を借りているわけだから。 そうそう。だから、体を貸す身としても、覚悟を持たないとできない。私がやることは、この子の人生や生きざまを私の体を使って表現すること。他人様の人生を預かってるみたいな感じなんですね。それはもう責任重大だし、覚悟を持ってやらなきゃダメ。 私の体を借りてよかったって言ってもらえるようにというのは、いつも心の中で思っていることです。 ──素敵な話をたくさんありがとうございました。最後にちょこっとだけ横顔を聞かせてください。蓮佛さんは児童文化学科のご卒業で、卒論代わりに絵本制作をなさったとか。今も絵本は描いたりしますか。 もう全然描いてないです(笑)。卒論のときに、本当に苦しんだんですよ。何を出してもゼミの先生にダメだダメだと言われて。あれをまたやるのかと思うともうできないです(笑)。 ──本当に正直ですね(笑)。ちなみに趣味はギターとありますが……。 高校生のときにマネージャーさんに借りて、ちょっとやっていたんですけど、Fコードでつまずきました(笑)。今でもたまに弾いたりはするんですけど、趣味とはもう言えないですね(笑)。 ──じゃあ、最近の趣味を教えてください! インスタでまったく知らない子どもの成長を見続けることかな。これ、怖いんですよ、文字で読むと(笑)。 ──いや、共感できますよ(笑)。 わかります? この間まで喋れなかった子が喋れるようになってるのとか、ちょっとテンションが上がりますよね。お子さんの写真をアップしている親御さんのアカウントをフォローして、いつか会いたいと思いながら成長を見守るのが最近の趣味です(笑)。