「身代金報道」でKADOKAWAグループ内が疑心暗鬼に…“株価暴落”、“元会長の裁判”まで重なって頭を抱える社員の胸中
6月8日に発覚したKADOKAWAグループの大規模なシステム障害は、ニュースサイトの「NewsPicks」が「【極秘文書】ハッカーが要求する「身代金」の全容」と題するスクープを報じたことで、いっそう混迷を深めている。今も完全復旧のメドが立たない中、KADOKAWAグループで働く現役社員は、どのような感想を抱いているのだろうか。 【写真を見る】6月11日に放送された「月刊ニコニコインフォ」の様子 スパチャの額の“特徴”に注目 ***
いったい誰がリークしたのか
システム障害は今もなお、KADOKAWAグループ内の広範囲で起きているという。原因は、出版事業などにも使われる同社の基幹システムがサイバー攻撃を受けたことにある。 「角川文庫は夏の“100冊フェア”の準備の真っただ中でした。システム障害の影響で重版も思うようにいかず、在庫管理に苦労したと聞いています」 と話すのは、KADOKAWAグループで働く現役社員のA氏だ。 「出版事業に関わるシステムは7月初旬に復旧する予定だそうです。今はExcelやスプレッドシートを使い“手動”で在庫管理をしているとも聞きます」(A氏) まさに“非常事態”だが、それ以上に社員たちの関心事になっているのが、「いったい誰がNewsPicksにリークしたのか」ということ。 「NewsPicksの報道には社員の多くが関心を寄せており、実際に記事を読んだ人も多い。私もその1人ですが、あの中に書かれていた内容は、どう考えても役員クラスしかアクセスできない“極秘情報”でした。自分の所属部署の部長ですら“ぜんぜん知らなかった”と話していました」(A氏) そうすると、NewsPicksに情報をリークした人もかなりの上級職という可能性が高くなるが――。
ドワンゴ派とカドカワ派
実際にハッカーとの交渉を担当しているのは、ドワンゴの取締役COOでニコニコ代表を務める栗田穣崇氏とされている。 「誰が情報をリークしたのか、もちろん確かなことは分かりません。ただ、ドワンゴ社内にはKADOKAWAとの合併前のドワンゴを知る“ドワンゴ派”と、KADOKAWAをルーツに持つ“カドカワ派”という、ゆるやかな派閥が存在します。役員内で今回の対応に関する意見の相違があったのでは、と推測する社員もいるようです」(A氏) ドワンゴがKADOKAWAと合併した当時、ドワンゴの社長を務めていたのは、現KADOKAWA取締役の川上量生氏だ。 「合併当時は時価総額でドワンゴがKADOKAWAを上回っていたこともあり、“対等な立場での合併”と捉えられていましたが、今のドワンゴは事実上、KADOKAWAの子会社という立ち位置です。川上さんはKADOKAWAのゲームアプリ事業で大きな赤字を生み、それもパワーバランスに変化が生じた一因だと聞いたことがあります」(A氏)