「尊厳死」 法制化の動き 安楽死とどう違う? 賛否は?
末期ガンなどに侵され、回復する可能性がない患者の意思に基づいて延命措置を施さない「尊厳死」を法制化する動きが出ています。超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」は、患者が延命措置を望まない場合、医師が人工呼吸器を取り外すなど延命措置を中止しても法的責任を問わない「尊厳死法案」を、今の通常国会に議員立法で提出する方針です。尊厳死とは具体的にどのようなもので、どうして法制化する必要があるのでしょうか。 尊厳死と似ている言葉に、「安楽死」があります。安楽死とは、肉体的・精神的苦痛から患者を解放するため、薬物投与などで人為的に死を早めることを言います。それに対し、尊厳死は、病などにより「不治かつ末期」になったときに、自分の意思で、死にゆく過程を引き延ばすだけに過ぎない延命措置を中止し、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることを指します。
本人の意思に基づくのが「尊厳死」
わかりやすく言えば、第三者の意思が介在するのが「安楽死」、本人の意思に基づくのが「尊厳死」です。
現在、日本には尊厳死について明確に規定した法律が存在しません。患者本人や家族の意向を受けて延命治療を中止した医師は「殺人罪」に問われる可能性があるため、医療現場では患者らが尊厳死を望んでもやむなく延命措置を続ける傾向が強いとされています。こうした事態を解消するため、尊厳死を法制化する動きが出ているわけです。 東京新聞(1/12付)によると、「尊厳死法制化を考える議員連盟」が提出を予定している法案では、末期ガンなどに侵され、適切に治療しても患者が回復する見込みがなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。15歳以上の患者が延命措置を望まないと書面で意思表示し、2人以上の医師が終末期と判定すれば尊厳死を認め、医師は刑事、民事、行政上の法的責任を問われないと定めています。また、意思表示の撤回はいつでも可能とし、本人の意思が確認できない場合は「法律の適用外」としています。