奥華子「路上ライブなかったら今の私の音楽は絶対ない」
「路上ライブをやっていなかったら、今の私の音楽は絶対ない」と話すのは、シンガーソングライターとして活躍する奥華子。今年メジャーデビュー10周年を迎え、記念シングルの「楔 -くさび-」を7月にリリースしたばかりだ。同曲は、奥がインディーズ時代に手掛けた失恋ソング。「切ない」「泣ける」など口コミのみで広がり、動画サイトの再生回数が累計1500万回を超えるなど話題を呼んだ知る人ぞ知る名曲が、10年の月日を経てシングル化となった。声だけで泣ける「失恋ソングの女王」と呼ばれる奥華子の横顔に迫る。
口コミだけで広がった珠玉の名曲
デビュー前からずっと大切に歌ってきたという「楔 -くさび-」は、お互いに好きなまま別れてしまうという、胸が苦しくなるような切ない失恋ソング。「宣伝とか関係なしに、ネットですごく聴いてもらえている曲で、いつかシングルにしたいと思っていたので、10年という節目に奥華子の原点となるようなこの曲をリリースしようと思いました」と語った。 実体験をもとに曲を作ることがほとんどという奥は、「信じていた未来だったり、人だったりがなくなるということを受け入れられなかった。それで、どうして人は守れない約束をするんだろうってことを歌にしたんです。純粋な気持ちがあったからこそ作れた歌詞」と、当時のことを振り返った。
路上ライブで2万枚のCDを売り上げた
メジャーデビューのきっかけは路上ライブだった。千葉出身の奥は、2004年に地元の駅前でキーボードの弾き語りを始め、1年間で2万枚の自主制作CDを手売りする。その驚異的な集客力が話題となり、ポニーキャニオンの当時のディレクターにCDが渡ることに。 「すごく気に入ってくださって、『うちから出しませんか?』って熱く言ってもらえたのがデビューのきっかけでした」。その時の「花火」という曲が、今回リリースしたCDにカップリングとして収録されている。 「路上ライブって、名前も顔も知らない見ず知らずの人が、足を止めて歌を聴いてくれるんですよ。それってすごいこと。本当に純粋で、そこには何も嘘はない。それが歌う意味だったし、生きる力になるっていうくらい力をもらえたんです。だからもし路上ライブをやっていなかったら今は絶対ないです」と断言する奥。